市長からのお知らせ(損害賠償民事訴訟について)
民事訴訟(損害賠償請求)の判決確定にあたって
平成31年2月15日に提訴された、原告 株式会社壱岐産業、被告私白川博一及び壱岐市の損害賠償民事訴訟の判決について、控訴期限である令和4年2月2日までに原告、被告双方が控訴を行わなかったことにより、判決が確定しましたので、これまでの経過と結果についてご説明申し上げます。
始めに、これまで市民皆様にご心配、ご不安をおかけしましたことを心からお詫び申し上げます。誠に申し訳ございませんでした。
この件について遡りますと、平成28年4月市長選挙後の市公共工事入札における指名回避について、原告から平成29年1月、私(市長)及び副市長(当時)に対し公務員職権濫用罪(刑事事件)で長崎地方検察庁へ告訴がなされました。
これについては、平成30年に不起訴となりましたが、これを不服として、原告は平成30年6月に長崎検察審査会へ申し入れを行いました。しかしながら、長崎検察審査会においても再び、不起訴となったところであります。
その後、平成31年2月に原告から、壱岐市及び私に対し、民事訴訟(損害賠償請求事件)が提訴されました。
提訴の内容は、「指名回避により廃業に追い込まれたので、壱岐市及び白川博一は連帯して損害額2,047万4,785円を支払え」というものであります。
経過についてご説明いたします。
平成28年5月に壱岐市が発注した公共工事について、壱岐市建設工事の指名基準、第3条第1項第5号「市長が受注者として不適当であると認めるときは指名しないものとする」に基づき、この工事については、指名回避を行ったところであります。
その理由といたしましては、市政に対する痛烈な批判のみならず私個人に対する誹謗中傷が繰り返されるなど信頼関係が築かれないことから公共工事の相手方として誠実な契約の履行が見込めないこと、さらには、原告の経営状況等を踏まえたことを加え、指名回避を行ったことを訴えてまいりました。
一方、原告としては、市長選挙における相手候補を応援したことを理由に本件指名回避が行われたことを要因として、実質的に廃業に追い込まれ、これらに伴う損害として合計2,047万4,785円の損害を被ったと訴えられておりました。
このことについては、本件指名回避が市の指名基準によるものであること、原告が廃業した理由は本件指名回避が要因ではないことなどを訴えてきたところであります。
これらの争点について、双方主張を行い、私どもといたしましても、情報提供者2名の証言者に出廷いただいたところであります。
しかしながら、判決においては、本件指名回避には、壱岐市長である私が恣意的に行ったものと解さざるを得ないこと、裁量権即ち行政を進める中で、市長に許される判断の余地、許容範囲の逸脱、濫用があったといえることから、それに基づく損害額として、私の任期中は指名がなされないと思われるとして、4年間分合計299万4,956円が損害額になるとの判決内容でありました。
裁判の過程において、指名回避はその工事に限ったものであり、4年間も続くものではなく指名回避から3か月後の廃業には結びつくものではないことなど主張いたしましたが、結果として壱岐市及び私の主張は認められませんでした。
一方、白川博一個人に対しての、不法行為による損害賠償請求については、被告白川は市長の職務として行った行為であるから、国家賠償法の規定により、賠償責任は負わないとされました。しかしながら、国家賠償法は当該公務員に求償権を有するとされていることから、壱岐市は白川博一に対し求償権を行使し、損害賠償金、遅延損害金及び弁護士費用等の合計額520万7,389円について請求を行い、私は2月9日までにその全額の支払いを完了したところでございます。
以上が、これまでの経過と判決結果でございます。
結果として刑事訴訟と民事訴訟の判断は分かれ、平成29年1月の刑事訴訟からこれまで5年間に亘り、検察庁や裁判所において、誠実に細部に至るまでご説明申し上げてきたところでありますが、市民皆様にその内容をご説明申し上げるには限界もございます。
これまでのすべての内容を精査された結果が、只今申し上げた判決内容でございますので、ご理解賜りますようお願い申し上げます。
今回の判決を受け、判決内容を精査した結果、全てを承服できるものではございませんが、判決の言い渡しから2週間という期限の中で、顧問弁護士等とも協議を重ね、熟慮した結果、市政の円滑な運営を図るため、控訴を行わないことを決断いたしました。
控訴期限は去る2月2日まででありましたので、翌2月3日、代理人弁護士を通じて長崎地方裁判所に確認したところ、原告からも控訴はないということでしたので、この判決は確定いたしました。
私は、今回の判決結果を重く受け止め、顧問弁護士や議長等からも意見等をいただきながら、自らの責任について熟慮を重ねて参りました。
その中で私が考えた4つの責任について申し上げます。
まず、刑事的責任であります。これについては、検察庁及び検察審査会において捜査が尽くされた結果、不起訴が確定しており、刑事的責任は問われていないものであります。
次に、民事的責任であります。これについては、確定判決に基づき、市からの求償に基づく支払いを全て終えたことで、法的な責任については、果たしたものであると捉えております。
3点目に、道義的責任であります。これについては、先の議会でも申し上げておりますが、自治体の首長として、市政に混乱を招いた道義的責任を明確にするため、市議会3月会議において、しかるべき議案を提出する予定といたしております。
4つ目が、政治的責任であります。これについては、私も大変思い悩みました。
政治的責任のとり方には2つあると考えますが、
1つは、辞職することであります。
今1つは、今回の反省を糧としてこれまで以上に市政運営に邁進することであります。
この2つの選択肢について、多くの方々のご意見やご助言をいただきながら、熟慮に熟慮を重ねた結果、私は、「壱岐市政に心血を注ぐことによってその責任を果たしていく」と決断いたしました。
市民皆様とのお約束を放棄することなく、4期目の公約に掲げております「壱岐の未来へ必死 全ての産業振興に全力」で取り組むことこそ、私が果たすべき政治的責任であると確信したところであります。
また、新型コロナウイルス感染症の影響による現在の壱岐市の状況を考えたこともその理由の一つであります。感染症の影響により市内経済が疲弊している中で、かねてから申し上げておりますように、早期の経済の回復・浮揚を目指し、更なる壱岐市の振興発展と市民皆様の暮らしの向上に全力で取り組み、残りの任期を全うして参る覚悟でございます。
改めて、市民皆様には、この度市政に混乱を招き、ご心配、ご不安をおかけしましたことを心からお詫び申し上げます。
誠に申し訳ございませんでした。
令和4年2月15日
壱岐市長 白川 博一
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更新日:2022年02月15日