○壱岐市消防本部火災調査規程事務処理要綱
令和5年4月1日
消防本部訓令乙第2号
壱岐市消防本部火災調査規程事務処理要綱(平成16年壱岐市消本訓令乙第5号)の全部を改正する。
(趣旨)
第1条 この訓令は、壱岐市消防本部火災調査規程(平成16年壱岐市消防本部訓令乙第4号。以下「規程」という。)第58条の規定に基づき、規程の施行に関し必要な事項を定めるものとする。
(定義)
第2条 この訓令において使用する用語は、規程において使用する用語の例による。
(火災の決定)
第3条 署長は、次の火災成立要件を勘案し、火災の決定を行うものとする。
(1) 人の意図に反し、又は放火により発生しているか否か。
(2) 消火の必要がある燃焼現象であるか否か。
(3) 消火施設又はこれと同程度の効果のあるものの利用を必要とするか否か。
(特別調査本部の設置)
第4条 消防長は、規程第7条第2項の規定により、おおむね次に掲げる火災に際し、機能的かつ効果的な調査体制の必要があるときは、特別調査本部を設置するものとする。
(1) 建物火災
ア 消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第17条の2の5第2項第4号に定める特定防火対象物で死者の発生した火災
イ 法第8条の2第1項に定める高層建築物若しくは地下街又は消防法施行令(昭和36年政令第37号。以下「令」という。)別表第1(16の3)項に掲げる防火対象物において発生した火災
ウ 令別表第1に掲げる防火対象物のうち「適マーク」を交付した防火対象物の火災
エ 建物焼損延べ面積の合計が3,000平方メートル以上と推定される火災
オ 損害額1億円以上と推定される火災
(2) 林野火災
ア 焼損面積の合計が10ヘクタール以上と推定される火災
イ 空中消火を要請した火災
ウ 住家等へ延焼するおそれがある等社会的に影響度が高い火災
(3) 車両、船舶、航空機等の火災
船舶、航空機、自動車等の火災で社会的に影響度が高い火災
(4) その他の火災
特殊な原因による火災、特殊な態様の火災等消防上特に参考となる火災
(5) 危険物に係る火災
ア 法第11条第1項の規定による許可を受けた危険物施設の火災
イ 法第10条第1項の規定に違反した無許可危険物施設の火災
ウ 危険物運搬及び移送中の火災
(6) 前各号に掲げる火災等に係るもの以外で、社会的影響度が高いと認められるもの
2 特別調査本部は、壱岐市消防本部庁舎に設置する。
3 特別調査本部に、調査本部長、調査副本部長、調査執行責任者及び本部員を置く。
4 調査本部長は、消防長とする。ただし、火災の態様により署長を調査本部長とすることができる。
5 調査副本部長、調査執行責任者及び本部員は、それぞれ調査本部長が指名するものとする。
(出火出動時における見分調査書の作成者)
第5条 出火出動時における見分調査書(規程様式第3号)の作成者は、主として最先着隊の指揮者とするが、必要に応じ他の隊員に作成させることができる。
2 消防活動時の見分を調査書として記載しておくものであるから、作成に当たっては、感想や抽象的表現を避けなければならない。
3 「出動途上における見分状況」を記載する場合は、次に掲げる事項を記入しなければならない。
(1) 覚知時の位置状況
(2) 出動途上時の火煙、異臭、異音、爆発等の状況とその確認時の位置
(3) 交通渋滞その他現場到着の遅れの理由
(4) 部署の位置
4 「現場到着時における見分状況」を記載する場合は、次に掲げる事項を記入しなければならない。
(1) 下車後の行動
(2) 出火建物、周囲建物の火煙の状況、延焼状況、屋根の燃え抜け、軒先、開口部からの火煙の噴出状況及び火勢の強弱と確認時の位置
(3) 異音、異臭、爆発等特異な現象と確認時の位置
(4) 関係者等の負傷、服装、行動の概要及び応答内容
(5) 建物の戸、窓、シャッター等の開閉及び施錠状態
5 「消防活動中における見分状況」は、次に掲げる事項を記入しなければならない。
(1) 延焼状況
(2) 関係者等が発言した内容
(3) 残火処理に伴う出火箇所付近の物件の移動、倒壊及び損壊の状況
(4) 漏えい電流及びガス漏れの有無、ガス栓の開閉状態その他火災原因判定に必要な事項
6 「死傷者の発見、救出等の状況」を記載する場合は、次に掲げる事項を記入しなければならない。
(1) 死傷者発見時の位置、延焼等の状況
(2) 死傷者の救出、救護等の状況
7 出火出動時における見分調査書には、見分内容を明らかにするために必要な写真及び図面又はいずれかを添付しなければならない。
(現場保存)
第7条 現場保存については、規程第20条の規定によるほか、次に掲げる事項に留意して行わなければならない。
(1) 現場見分を行う以前に物を移動し、又は破壊する必要がある場合は、写真撮影を行い、又は記録、見取図等により原状を明らかにしておくこと。
(2) 現場保存をする区域に立札等を掲示して立入りを禁止し、又は制限する場合は、関係者に通知するとともに警察官に連絡して行うこと。
(3) 現場保存をする区域内に関係者又は電気、ガス、水道等の工事人を立ち入らせる場合は、消防職員を立ち会わせること。
2 関係者の範囲は、次に掲げる者とする。ただし、火元消防対象物等で残存部分の価値が滅失し、かつ、事故発生危険の少ないものの関係者を除く。
(1) 火元消防対象物の関係者
(2) 類焼した消防対象物の関係者
(3) 強い放射熱を受けたと予想される対象物の関係者
(4) 前3号に掲げる関係者に係る従業員、親戚、知人等
3 監視及び警戒については、次のとおりとする。
(1) 原因調査のため消防警戒区域を設定して現場の保存を行うときは、消防職員又は消防団員が監視及び警戒に当たるものとすること。ただし、現場保存に当たる警察官が再出火等について、監視及び警戒の協力を了承した場合を除く。
(2) 火元又は類焼した消防対象物の関係者等が不在の場合は、現場保存に当たる警察官又は町会役員その他住民に対し当該消防対象物について監視、警戒等の協力を求めておくとともに、消防団員に応急措置を指示し、必要と認めたときは、随時警戒出向する等再出火の防止に努めること。
4 説示の方法は、次のとおりとする。
(1) 口頭で危険と思われる場所の具体的な危険性について説明し、徹底を期すとともに必要に応じ監視、警戒、協力依頼書(規程様式第29号)を交付すること。
(2) 説示は、署長又は現場指揮者の指定する者が関係者等に対して行うこと。
(3) 説示した相手側の管理区分及び氏名は、可能な範囲で聴取しておくこと。
(4) 監視、警戒、協力依頼書の控え欄に交付した日時、場所及び関係者の管理区分、受領者の氏名並びに交付者名を記録して保存すること。
(実況見分の実施要領)
第9条 調査員は、規程第22条第2項の規定による現場見分に当たっては、全体を見通す位置につき、現場の外周から中心部(出火点)に至る経路を取りあらゆる角度から焼き状況を観察し、次に掲げる事項について詳細に見分しなければならない。
(1) 被災物の被災程度及び範囲
(2) 被災物の形状
(3) 焼損物の焼損の差異又は濃淡の状況
(4) 焼損物の落下、倒壊、堆積等の状況
(5) 焼損物の変質、亀裂、溶融、臭い等の変化の状況
(6) その他必要な事項
2 署長は、前項の規定による観察のため現場発掘等の必要を認めるときは、所属の分隊を出動させて調査員の行う作業に協力させるように努めなければならない。
(実況見分調査書の作成者)
第10条 実況見分調査書(規程様式第4号)の作成者は、主として調査責任者とするが、上司が指名した場合は、この限りでない。
2 実況見分調査書は、現場の証拠確保のため鎮火後における焼き状況や、復元した焼き状況を記録しておくものであるから、その記載に当たっては、抽象的又は主観的な表現を避けなければならない。
3 実況見分調査書には、次に掲げる事項をそれぞれ記入しなければならない。
(1) 現場の位置及び付近の状況
ア 道路案内の要領で付近にある著名な建物や、その他の目標を明示して現場を記入すること。
イ 現場を中心とした周囲の地形や道路の状況、建物の粗密や老朽度、構造等の概要、水利その他の状況を記入すること。
(2) 現場の模様
ア 火災現場全域にわたり、現場発掘前の見分状況を記入すること(立会人の証言に基づくものは、それを明らかにすること)。
イ り災建物の配置、構造及び階層並びに占有、管理及び所有の状況
ウ り災建物の概括的な焼損、倒壊、破壊、水損程度等の模様
(3) 焼き状況
ア 出火箇所の判定、原因の判定に必要な焼き状況その他の見分事実を記入すること。
イ 現場発掘する範囲内は、発掘の進展に応じて見分した物件の焼き状況や位置、質、形、状態、量等を必要に応じて詳細に記入すること。
(2回以上の実況見分調査書の作成)
第12条 実況見分後に日を改めて更に実況見分を行ったときは、1日単位で第1回、第2回等として実況見分調査書を作成するものとする。
2 第2回以後の実況見分で、第1回の見分を保管する事実又は重要な新事実を発見できない場合は、第2回以後の実況見分調査書を作成する必要は、ないものとする。
(写真)
第13条 規程第23条第1項の写真は、次に掲げる事項を撮影するものとする。
(1) 焼損建物その他の消防対象物(以下「対象物」という。)の全景
(2) 対象物の焼き状況
(3) 出火箇所付近の焼き状況
(4) 復元された状況
(5) 発火源の状況
(6) 延焼(立ち上がり)の経路を示す焼き状況
(7) 焼死者の状況
(8) その他必要な写真
2 前項の写真は、次の事項に留意して撮影するものとする。
(1) 被写体の選定及び撮影の意図 被写体の選定は、実況見分者の指示によるものとし、その意図を十分理解してから撮影すること。
(2) 被写体の位置及び標識 被写体は、その存在を明示し得る目標(柱、敷居、家具調度その他の対象物)を入れ、必要に応じスケール又は標識を付して撮影すること。
(3) 理解しやすい画像及び、構図 写真には、必要と認める人物(体)以外は入れないようにするとともに、第三者が理解しやすいように撮影すること。
3 第1項の写真は、撮影者の責任において整理するものとし、現場の状況を明確に判断できるよう撮影方向及び写真の説明を具体的に行うことに留意して記録しておくものとする。
(図面)
第14条 規程第23条第1項の図面については、次に掲げるものを作成するものとする。
(1) 現場付近図(案内図)
(2) 対象物の配置図
(3) 対象物の平面図、立体図(姿図)、断面図、透視図、展開図、ふかん図等
(4) 写真撮影位置図
(5) 出火箇所付近図(出火した箇所、その周辺又は対象物の明細図等)
(6) 出火箇所の立面図又は断面図
(7) その他必要と認める図面
2 前項の図面は、次の事項に留意して作成するものとする。
(1) 方位 原則として北が上になるように作成し、かつ、方位を記入すること。
(2) 縮尺 表示した縮尺により正確な作図をすること。
(3) 記号 正規の記号を用いて作成すること。ただし、作図の都合上補完記号を用いる場合は、注書き(凡例付記)をすること。
(4) 作成年月日及び作成者を図面に記入すること。
(質問の要領及び留意事項)
第15条 調査員は、署長の代理者として規程第24条第1項の規定により質問を行うに当たっては、強制的手段及び粗暴な言動を避け任意に真実の申述を得るように努め、自己が期待し、又は希望する申述を相手方に暗示するなどの方法によりみだりに申述を誘導してはならない。
2 事前に質問の要旨をメモし、出火に直接関係がなく間接的な状況説明に必要な家族構成又は勤務状況については、簡単に録取し、原因調査に関する質問事項に重点を置くものとする。
3 関係者から質問調査書(規程様式第7号)を取るため署所に出頭を求める場合は、関係者の勤務場所、家庭又は学校等の都合及び心身の状態を勘案して行うものとする。
4 警察署における被疑者等への質問又は司法官憲その他の調査員と同席して火災関係者及び火災参考人への質問又は事情聴取をする場合は、身分を明示しなければならない。
5 参考人から事情聴取する場合は、前2項に準ずるとともに、場所、日時及び調査員の服装(制服、私服の別)についても、参考人の意向に沿うように努めるものとする。
6 質問調査書作成の補完のため、録音することができる。
2 質問調査書は、次の者の申述内容を必要に応じて録取しなければならない。
(1) 出火行為者
(2) 火元関係者
(3) 発見者及び通報者
(4) 初期消火従事者
(5) その他関係のある者
3 質問調査書の作成に当たっては、関係者等から現場で聞き込んだ申述内容(メモ等)を参照して作成しなければならない。
4 被質問者(以下「申述者」という。)の申述は、その内容を強要してはならず、また、録取が終わった調査書の内容は、必ず閲覧し、又は読み聞かせて、その内容に間違いがないかどうかを確認しなければならない。
5 質問調査書には、次に掲げる事項を記録しておくものとする。
(1) 出火建物(出火箇所)と申述者の関連
(2) 出火前における出火建物等(出火箇所)の管理状況、作業状況及び火気使用状況等
(3) 出火箇所で発掘された物件の保守管理、使用状況及び構造、機能等
(4) 出火時の状況(出火時の申述者及び関係者の位置並びに出火の状況)
(5) 発見、通報、初期消火、延焼、避難、消防用設備等の作動状況及び使用状況並びに申述者の行動
(奥書)
第17条 申述内容を記録し終わったときは、申述者又は立会人若しくは保護者に読み聞かせた上で、奥書する。
(質問調査書の省略)
第18条 簡易な火災で出火原因及び焼き状況に係る警防活動及び火災予防上の資料価値が乏しいものは、火災原因判定書中に「関係者の申述」の項目を設け、関係者の申述を簡潔に抄録し、正規の質問調査書に代えることができる。
(火災原因判定書の作成者)
第19条 火災原因判定書(規定様式第11号)の作成者は、主として見分調査書作成者とする。ただし、見分に立ち会った上席者は、判定書を作成することができる。
2 判定のため取り上げた事実は、必ず実況見分調査書や質問調査書の内容として記載されているものでなければならない。ただし、小火災の場合は、この限りでない。
3 出火原因についての判定は、焼き状況に主体をおいて発火源を立証することが原則であるが、その他の火源についての反証も必ず記載しなければならない。
4 火災原因判定書には、おおむね次の事項を記載するものとする。
(1) 小火災以外の火災の場合
ア 火災の概要
(ア) 火災現場及び周囲の状況
(イ) り災概要
(ウ) 出火建物の状況
(エ) 出火建物のり災世帯、り災人員及び出火時の人的状況
(オ) 死傷者の性別及び人数
(カ) その他消防行政上特記すべき事項
イ 出火建物の判定
(ア) 現場見分状況
(イ) 消防活動時の見分状況
(ウ) 発見状況
(エ) 結論(出火建物及び出火階の判定をいう。)
ウ 出火箇所(出火点)の判定
(ア) 現場見分状況
(イ) 消防活動時の見分状況
(ウ) 発見状況
(エ) 結論(出火箇所及び出火点の判定をいう。)
エ 出火原因の判定
(ア) 発火源名(出火箇所において、出火の可能性のある発火源を列挙することをいう。)
(イ) 結論(それぞれの発火源について考察を加え、火災の発生誘因及び発生経過を明らかにすることをいう。)
オ 参考事項
(ア) 出火原因判定等の資料とした文献名
(イ) 建物構造又は防火管理その他消防関係法令違反で延焼拡大又は死傷者を生じた理由
(ウ) 出火行為者が過去にも出火行為があったときは、その事例
(エ) 火元建物の保険契約金額及び契約年月日
(オ) その他必要と認める参考事項
(2) 小火災の場合
ア 火災の概要(前号アに同じ。)
イ 現場見分状況
ウ 関係者の申述
(ア) 申述者の職務上の地位、職務内容、家族構成及び死傷者との関係
(イ) 出火建物(出火箇所)と申述者の関連
(ウ) 主な申述概要
エ 出火箇所(出火点)の判定
(ア) 現場見分状況を引用した出火箇所の判定
(イ) 申述内容を引用した出火箇所の判定
オ 出火原因の判定(前号エに同じ。)
カ 参考事項(前号オに同じ。)
(1) 断定 各資料の証明力を総合することにより全く疑う余地がなく極めて具体的かつ科学的にその原因が決定されるものをいう。
(2) 判定 判定資料の証明力を総合することのみでは具体的かつ科学的にその原因を断定することはできないが、多少の推理を加えることにより疑う余地を残さないものをいう。
(3) 推定 各資料の証明力のみによっては、その原因を直接判定することはできないが、当該資料を基礎とし専門的立場からみて合理的にその原因が推測できるものをいう。
(4) 不明 原因を決定する資料が全くないもの、又は若干の資料があってもそれらの資料の証明力が極めて少なく専門的立場からみてもその原因が合理的に判断できないものをいう。
(物件の検査)
第22条 規程第33条の規定によるり災した物件の検査は、品質、材質、数量、価格その他重要と認める事項について聴取しておかなければならない。
2 「構造・階数」の欄のうち構造については、構造様式として次の例により記入しなければならない。
(例) 木造瓦葺モルタル塗、鉄骨造波鉄板葺準耐火等
3 面積は、小数点第一位を四捨五入して記入しなければならない。
4 「り災世帯ごとの損害状況一覧」の欄は、一棟の建物内にり災世帯が2以上ある場合又は火元及び類焼を合わせてり災世帯が2以上ある場合に、り災した世帯ごとに必要事項を記入しなければならない。
5 「責任者氏名」の欄は、占有者、管理者、所有者の順に出火建物等に近接した者を記載しなければならない。
6 「焼損床面積」の欄は、建物の焼損が立体的に及んだ場合で、焼損したことによってその機能が失われた部分の床面積を平方メートルで記入しなければならない。ただし、当該焼損が内壁、天井、床等の部分のみに及んだ場合で、焼損面積を算定できない場合は、「建物の焼損程度」の欄に、次の例により付記しておかなければならない。
(例) 床○○m2表焼、壁○○m2表焼、天井○○m2表焼
2 収容物損害調査表は、り災者(り災した世帯の代表者又はり災した物件の関係者をいう。以下同じ。)ごとに収容物の損害を記録しなければならない。
3 表中の各欄の項目について不明の箇所がある場合は、他の項目を十分に調査して損害額を決定しなければならない。
2 「防火管理者」欄には、出火建物の防火管理状況に関する内容について、該当する項目がある場合についてはチェックを記入しなければならない。この場合において、既存の防火対象物台帳や予防担当者が作成している資料など、他の資料の添付によって記入を省略する場合は、本様式の直後に当該資料を添付するものとする。
3 「立入検査」欄には、直近最終の立入検査時の結果又は火災直後に行われた立入検査の結果を記載しなければならない。この場合において、予防担当者等によって行われた立入検査の関係資料など、他の資料によって記入を省略する場合は、本様式の直後に当該資料を添付するものとする。
4 「危険物施設等」欄には、一般的に次のような危険物等についての状況を記載しなければならない。この場合において、既存の防火対象物台帳や予防担当者が作成している資料など、他の資料によって記入を省略する場合は、本様式の直後に当該資料を添付するものとする。
(1) 許可・届出の内容
(2) 法令違反の有無
(3) 位置・構造・設備の状況
(4) 維持・管理の状況
(5) その他必要な事項
5 「消防用設備等の設置状況・住宅防火対策」欄には、一般的に次のような消防用設備等や住宅防火対策についての状況を記載しなければならない。この場合において、「消防用設備等の設置状況・住宅防火対策」欄の表上段は法第17条に基づく消防用設備等の設置状況についてチェックし、表下段は一般住宅の住宅防火対策について設置等の対策がなされている場合にチェックする。
6 前項の場合において、既存の防火対象物台帳や予防担当者が作成している資料など、他の資料の添付によって記入を省略する場合は、防火管理等調査書の直後に当該資料を添付する。
(1) 設置基準に適合しているか。
(2) 作動状況と効果の有無
(3) 関係者等の操作・対応の適否
7 備考欄には、火災について特記すべき事項があれば記載する。この場合において、記載例としては次のようなものがある。
(1) 過去の火災発生状況
(2) 防火管理者・立入検査・危険物施設等に関すること以外の指導実施内容
(3) 出火建物の建築年月、増・改築、修繕、用途変更、模様替え等の経過(注・類焼建物であっても、重要な建物等があれば記入を検討する。)
(4) 出火時の人的状況等(居住者の在・不在の別、事業所の営業中・閉店後の別など)
(5) 本火災により、取ることとなった火災予防対策等
2 り災損害届に記載した損害品名のうち、学術品、美術品、骨とう品、真珠、宝石類、貴金属類その他これらに類するものは、価格証明付き又は価格の推定可能なものを除き損害額に計上しないものとする。
3 受理したり災損害届は、実地に調査した被害状況と照合の上、損害査定及びり災証明並びにり災届出証明の資料とするものとする。
(り災証明書等の事務処理)
第30条 発行するり災証明書等は、規程第43条に規定する様式第16号から様式第20号までと照合し誤りのないときは、り災証明書等への照合済印で割印するものとし、り災証明書の発行が第2回以降のものについては、前回のり災証明交付申請書と照合して発行してよいものとする。
(手数料の徴収)
第31条 り災証明書等を発行するときは、壱岐市消防関係手数料条例(平成16年壱岐市条例第228号)に定める手数料を徴収するものとする。
(調査の完結)
第32条 調査は、提出した火災調査報告書(規程様式第1号)を消防長又は署長が決裁することにより当該火災調査事案の完結とし、火災原因が決定したものとする。
(調査実務上の責任)
第33条 火災原因判定に関する責任は、消防長又は署長のほか、当該火災調査の実務上において、火災原因判定調査員を主責任者とし、実況見分調査員を副責任者とする。
2 主責任者は、調査員の任を解かれた後も当該火災原因判定の責めを免れないものとする。
(参考人、照会等)
第34条 火災原因判定について、部外から詳細な問合せ、照会又は参考人申請があったときは、署長又は主責任者がこの任に充たるものとする。ただし、職務上守秘すべき事項について、あらかじめ消防長又は署長の指示を受けなければならない。
(調査時の服装)
第35条 調査に当たり所定の服装によっては支障があると認められるときは、私服により身分を明らかにした上で調査することができる。ただし、消防職員として品位を失墜するような服装による調査はできない。
(調査の公正措置)
第36条 火災原因が調査員と直接関わりがある火災である場合、失火又は放火の行為者等が調査員の4親等内の血族又は3親等内の姻族である場合、調査員と当該火災関係者が裁判等で係争中の場合その他調査の公正を損なう事由がある場合は、当該調査員は当該火災調査の主要な事務(実況見分調査書、火災原因判定書、質問調査書、規程第43条の損害調査及びり災証明書の作成)に従事することはできない。
(書類の保存)
第37条 規程第54条の規定により調査書類を保存するときは、火災発生の年月日順に整理し、その所在を明確にしておくものとする。
附則
この訓令は、令和5年4月1日から施行する。
別記(第29条関係)
り災証明書は、発生した火災の事実を住民福祉の立場から消防署が権威をもって証明するものであるから、その発行手続、証明内容、形式等については、次のり災証明書発行要領に基づき運用するものとする。
り災証明書発行要領
第1 運用上の留意事項
1 証明できる事項
証明を行うことができる事項は、事実を確認した記録(資料等)があるもの又は確実な証拠により立証できるものとし、り災者等(個人又は法人)からの申請により証明を行うものとする。
2 証明の発行に際して次に掲げる事項を含めてはならない。
(1) 所掌事務の範囲外の事項
(2) 意思表示を要素とする事項
(3) 職務上の秘密に属する事項
(4) 法令又は公の秩序若しくは善良の風俗に反する事項
(5) その他証明することにより消防業務に弊害を及ぼすと認められる事項
3 証明の申請
(1) 火災のあった事実のみを証明する場合には、規程様式第26号
(2) 災害によるり災状況に関する証明にあっては、規程様式第28号
4 焼損した建物については、焼損部分及び水損等によるり災部分について、消防署で確認した範囲で証明すること。なお、焼損した建物以外の水損等のみによるり災についても、証明できるものであること。
5 爆発火災によるり災及び爆発によるり災については、消防署で確認した範囲で証明すること。
6 建物の収容物その他動産のみが焼損以外の損害を受けた場合にも、証明できるものであること。
7 建物の面積、焼損面積、占有面積等を証明書に記載する場合は、消防署で確認した記録に基づくこと。
8 り災した動産については、り災損害届を受理したことの証明とすること。ただし、特定のものについて証明を求めている場合は、焼損、水損等のり災事実を確認した結果に基づき、り災損害届に記載されていることを確認して個別に証明することができるものであること。なお、水に濡れただけで損害が発生しないものについては、証明しないこと。
9 火災に対するり災証明は、火災のあったことの事実及びその状況について証明するものであるから、放火又は放火の疑いのある火災であっても証明することができるものであること。
10 証明にあっては、原則として火元、類焼の別は、表示しないものとする。ただし、火元、類焼の別が判然としている火災については、特に申請人から要求があったときは、証明者の判断により「火元」、「類焼」の別を表示することができるものであること。
11 証明書等を発行するに当たっては、使用目的に配意し乱用防止に努めさせなければならない。
12 証明書等の文字は、改ざんしてはならない。
13 証明書等は、数字以外の文字の訂正はできるものとする。文字を訂正したときは、訂正部分に2本線を引き、その上部に正書して、削除した文字は、明らかに読めるようにしておくものとする。この場合において、証明書については、当該行の右側欄外に「削○字 加○字」と記載し証明者の公印を押印するものとし、申請書については、申請人の訂正印を押印させておくものとする。
第2 証明書等記載例
1 り災証明書(規程様式第26号)
(1) 建物等不動産の場合(棟単位に記載すること。)
ア 一般の場合
(ア) 焼損床面積で表示できる場合
「火災により木造瓦葺2階建延○○平方メートルの建物のうち、○○平方メートルが焼損した。」
(イ) 焼損表面積で表示できる場合
「火災により木造瓦葺2階建延○○平方メートルの建物のうち、壁体(又は天井等)○○平方メートルが焼損した。」
(ウ) 焼損床面積と焼損表面積で表示できる場合
「火災により木造瓦葺2階建延○○平方メートルの建物のうち、○○平方メートル及び壁体(又は天井等)○○平方メートルが焼損した。」
(エ) 爆発火災で爆発による被害がある場合
「爆発火災により木造瓦葺2階建延○○平方メートルの建物のうち、○○平方メートル(又は壁体・天井等○○平方メートル)が焼損し、○○○○が破損した。」
(オ) 焼損部分がない場合
「火災により木造瓦葺2階建延○○平方メートルの建物のうち、○○平方メートル(又は壁体・天井等○○平方メートル)が水損(又は汚損)した。」
(カ) 焼損部分と水損等の部分がある場合
「火災により木造瓦葺2階建延○○平方メートルの建物のうち、○○平方メートル(又は壁体・天井等○○平方メートル)が焼損し、○○平方メートル(又は壁体・天井等○○平方メートル)が水損(又は汚損)した。」
(キ) 爆発の場合
「爆発火災により○○○○が破損した。」
イ 区分所有(又は区分占有)の場合
(ア) 焼損床面積で表示できる場合
「火災により木造瓦葺2階建延○○平方メートルの建物の占有部分(又は所有部分)○○平方メートルのうち、○○平方メートルが焼損した。」
(イ) 焼損表面積で表示できる場合
「火災により木造瓦葺2階建延○○平方メートルの建物の占有部分(又は所有部分)○○平方メートルのうち、壁体(又は天井等)○○平方メートルが焼損した。」
(ウ) 焼損床面積と焼損表面積で表示できる場合
「火災により木造瓦葺2階建延○○平方メートルの建物の占有部分(又は所有部分)○○平方メートルのうち、○○平方メートル及び屋根○○平方メートルが焼損した。」
(エ) 爆発火災で爆発による被害がある場合
「爆発火災により木造瓦葺2階建延○○平方メートルの建物の占有部分(又は所有部分)○○平方メートルのうち、○○平方メートル(又は壁体・天井等○○平法メートル)が焼損し、○○○○が破損した。」
(オ) 焼損部分がない場合
「火災により木造瓦葺2階建延○○平方メートルの建物の占有部分(又は所有部分)○○平方メートルのうち、○○平方メートル(又は壁体・天井等○○平方メートル)が水損(又は汚損)した。」
(カ) 焼損部分と水損等の部分がある場合
「火災により木造瓦葺2階建延○○平方メートルの建物の占有部分(又は所有部分)○○平方メートルのうち、○○平方メートル(又は壁体・天井等○○平方メートル)が焼損し、○○平方メートル(又は壁体・天井等○○平方メートル)が水損(又は汚損)した。」
(キ) 爆発の場合
ア(キ)の場合に準ずる。
(2) 建物の収容物その他動産のみの場合
ア 確認できる場合
(ア) 建物の収容物のみの場合
「火災(又は爆発火災等)により別紙記載物件が焼損(又は破損・水損)した。」
「火災(又は爆発火災等)により、○○○○が焼損(又は破損・水損)した。」
(イ) 車両の場合
「火災(又は爆発火災等)により自動車○台が焼損(又は破損)した。」(年式、名称、形式、種類及び登録番号も記載する。)
(ウ) その他の場合
(ア)及び(イ)の場合に準ずる。
イ 確認できない場合
(ア) 内容物が多数ある場合
「別紙り災損害届(写)のとおり、動産が火災(又は爆発火災等)にあったことの届出を○○年○月○日受理した。」
(イ) 内容物が特定できる場合
「火災(又は爆発火災等)により○○○○が焼損したことの届出を○○年○月○日受理した。」
2 り災届出証明書(規程様式第28号)
(1) 火災の場合
「○○年○月○日○時○分頃○○町○○触○○番地において、火災があった。」
(2) 爆発の場合
「○○年○月○日○時○分頃○○町○○触○○番地(又は付近)で、爆発事故があった。」