○壱岐市職員の懲戒処分に関する指針
平成21年3月31日
訓令第4号
第1 目的
この訓令は、任命権者が地方公務員法(昭和25年法律第261号)第29条に規定する懲戒処分(以下「懲戒処分」という。)に付すべきものと判断した事案について、代表的な事例を選び、職員の懲戒処分を厳正かつ公正に行うため、標準的な処分の量定に関する基準を定めるものとする。
第2 基本的事項
本指針は、代表的な事例を選び、それぞれにおける標準的な懲戒処分の種類を掲げたものである。
具体的な量定の決定に当たっては、
① 非違行為の動機、態様及び結果はどのようなものであったか
② 故意又は過失の度合いはどの程度であったか
③ 非違行為を行った職員の職責はどのようなものであったか、その職責は非違行為との関係でどのように評価すべきか
④ 他の職員及び社会に与える影響はどのようなものであるか
⑤ 過去に非違行為を行っているか
等のほか、適宜、日頃の勤務態度や非違行為後の対応等も含め総合的に考慮のうえ判断するものとする。
個別の事案の内容によっては、標準例に掲げる処分の種類以外とすることもあり得るところである。例えば、標準例に掲げる処分の種類より重いものとすることが考えられる場合として、
① 非違行為の動機若しくは態様が極めて悪質であるとき又は非違行為の結果が極めて重大であるとき
② 非違行為を行った職員が管理又は監督の地位にあるなどその職責が特に高いとき
③ 非違行為の公務内外に及ぼす影響が特に大きいとき
④ 過去に類似の非違行為を行ったことを理由として懲戒処分を受けたことがあるとき
⑤ 処分の対象となり得る複数の異なる非違行為を行っていたとき
がある。また、例えば、標準例に掲げる処分の種類より軽いものとすることが考えられる場合として、
① 職員が自らの非違行為が発覚する前に自主的に申し出たとき
② 非違行為を行うに至った経緯その他の情状に特に酌量すべきものがあると認められるとき
がある。
なお、標準例に掲げられていない非違行為についても、懲戒処分の対象となり得るものであり、これらについては標準例に掲げる取扱いを参考としつつ判断する。
第3 標準例
1 一般服務関係
(1) 欠勤
ア 正当な理由なく10日以内の間勤務を欠いた職員は、減給又は戒告とする。
イ 正当な理由なく11日以上20日以内の間勤務を欠いた職員は、停職又は減給とする。
ウ 正当な理由なく21日以上の間勤務を欠いた職員は、免職又は停職とする。
(2) 遅刻・早退
勤務時間の始め又は終わりに繰り返し勤務を欠いた職員は、戒告とする。
(3) 休暇の虚偽申請
病気休暇又は特別休暇について虚偽の申請をした職員は、減給又は戒告とする。
(4) 勤務態度不良
勤務時間中に職場を離脱して職務を怠り、公務の運営に支障を生じさせた職員は、減給又は戒告とする。
(5) 職場内秩序を乱す行為
ア 他の職員に対する暴行により職場の秩序を乱した職員は、停職又は減給とする。
イ 他の職員に対する暴言により職場の秩序を乱した職員は、減給又は戒告とする。
(6) 虚偽報告
事実をねつ造して虚偽の報告を行った職員は、減給又は戒告とする。
(7) 違法な職員団体活動
ア 地方公務員法第37条第1項の規定に違反して同盟罷業、怠業その他の争議行為をなし、又は地方公共団体の機関の活動能率を低下させる怠業的行為をした職員は、減給又は戒告とする。
イ 地方公務員法第37条第1項の規定に違反して同項に規定する違法な行為を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおった職員は、免職又は停職とする。
(8) 秘密漏えい
職務上知ることのできた秘密を漏らし、公務の運営に重大な支障を生じさせた職員は、免職又は停職とする。
(9) 政治的目的を有する文書の配布
政治的目的を有する文書を配布した職員は、戒告とする。
(10) 兼業の承認等を得る手続の懈怠
営利企業の役員等の職を兼ね、若しくは自ら営利企業を営むことの承認を得る手続又は報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員等を兼ね、その他事業若しくは事務に従事することの許可を得る手続きを怠り、又はこれらの兼業を行った職員は、減給又は戒告とする。
(11) 市が入札等により行う契約の締結に関し、その職務に反し、事業者その他の者に談合を唆すこと、事業者その他の者に予定価格等の入札等に関する秘密を教示すること又はその他の方法により、当該入札等の公正を害すべき行為を行った職員は、免職又は停職とする。
(12) 個人の秘密情報の目的外収集
その職権を濫用して、専らその職務の用以外の用に供する目的で個人の秘密に属する事項が記録された文書等を収集した職員は、減給又は戒告とする。
(13) セクシュアル・ハラスメント(他の者を不快にさせる職場における性的な言動及び他の職員を不快にさせる職場外における性的な言動)
ア 暴行若しくは脅迫を用いてわいせつな行為をし、又は職場における上司・部下等の関係に基づく影響力を用いることにより強いて性的関係を結び又はわいせつな行為をした職員は、免職又は停職とする。
イ 相手の意に反することを認識の上で、わいせつな言辞、性的な内容の電話、性的な内容の手紙・電子メールの送付、身体的接触、つきまとい等の性的な言動(以下「わいせつな言辞等の性的な言動」という。)を繰り返した職員は、停職又は減給とする。この場合において、わいせつな言辞等の性的な言動を執拗に繰り返したことにより相手が強度の心的ストレスの重積による精神疾患に罹患したときは、当該職員は免職又は停職とする。
ウ 相手の意に反することを認識の上で、わいせつな言辞等の性的な言動を行った職員は、減給又は戒告とする。
(14) 公文書偽造
公文書を偽造した職員は、免職、停職又は減給とする。
(15) 公印偽造・不正使用
公印を偽造又は不正使用した職員は、停職、減給又は戒告とする。
(注) 処分を行うに際しては、具体的な行為の態様、悪質性等も情状として考慮の上判断するものとする。
2 公金官物取扱い関係
(1) 横領
公金又は官物を横領した職員は、免職とする。
(2) 窃取
公金又は官物を窃取した職員は、免職とする。
(3) 詐取
人を欺いて公金又は官物を交付させた職員は、免職とする。
(4) 紛失
公金又は官物を紛失した職員は、戒告とする。
(5) 盗難
重大な過失により公金又は官物の盗難に遭った職員は、戒告とする。
(6) 官物損壊
故意に職場において官物を損壊した職員は、減給又は戒告とする。
(7) 失火
過失により職場において官物の出火を引き起こした職員は、戒告とする。
(8) 諸給与の違法支払・不適正受給
故意に法令に違反して諸給与を不正に支給した職員及び故意に届出を怠り、又は虚偽の届出をするなどして諸給与を不正に受給した職員は、減給又は戒告とする。
(9) 公金官物処理不適正
自己保管中の公金の流用等公金又は官物の不適正な処理をした職員は、減給又は戒告とする。
(10) コンピューターの不適正使用
職場のコンピューターをその職務に関連しない不適正な目的で使用し、公務の運営に支障を生じさせた職員は、減給又は戒告とする。
3 公務外非行関係
(1) 放火
放火をした職員は、免職とする。
(2) 殺人
人を殺した職員は、免職とする。
(3) 傷害
人の身体を傷害した職員は、停職又は減給とする。
(4) 暴行・けんか
暴行を加え、又はけんかをした職員が人を傷害するに至らなかったときは、減給又は戒告とする。
(5) 器物損壊
故意に他人の物を損壊した職員は、減給又は戒告とする。
(6) 横領
自己の占有する他人の物(公金及び官物を除く。)を横領した職員は、免職又は停職とする。
(7) 窃盗・強盗
ア 他人の財物を窃取した職員は、免職又は停職とする。
イ 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した職員は、免職とする。
(8) 詐欺・恐喝
人を欺いて財物を交付させ、又は人を恐喝して財物を交付させた職員は、免職又は停職とする。
(9) 賭博
ア 賭博をした職員は、減給又は戒告とする。
イ 常習として賭博をした職員は、停職とする。
(10) 麻薬・覚せい剤等の所持又は使用
麻薬・覚せい剤等を所持又は使用した職員は、免職とする。
(11) 酩酊による粗野な言動等
酩酊して、公共の場所や乗物において、公衆に迷惑をかけるような著しく粗野又は乱暴な言動をした職員は、減給又は戒告とする。
(12) 淫行
18歳未満の者に対して、金品その他財産上の利益を対償として供与し、又は供与することを約束して淫行をした職員は、免職又は停職とする。
(13) 痴漢行為
公共の乗物等において痴漢行為をした職員は、停職又は減給とする。
(14) ストーカー行為
ストーカー行為をした職員は、免職、停職又は減給とする。
4 飲酒運転・交通事故・交通法規違反関係
別表の基準により処分するものとする。
5 監督責任関係
(1) 指導監督不適正
部下職員が懲戒処分を受ける等した場合で、管理監督者としての指導監督に適正を欠いていた職員は、減給又は戒告とする。
(2) 非行の隠ペい又は黙認
部下職員の非違行為を知得したにもかかわらず、その事実を隠ペいし、又は黙認した職員は、停職又は減給とする。
附則
この訓令は、平成21年4月1日から施行する。
附則(平成29年5月26日訓令第6号)
この訓令は、平成29年5月26日から施行する。
別表
交通事故等に関する懲戒処分基準表
結果 原因 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | |
相手方死亡 | 相手方重傷 | 相手方軽傷 | 家屋その他、他人の所有物に損害を与えた場合 | 自損のみ | 無損傷 | ||
1 | 飲酒運転 | 免職 | |||||
2 | 無免許運転 | 免職、停職又は減給 | |||||
3 | 上記以外の事由による場合 | 免職、停職、減給又は戒告 | 戒告、訓告又は厳重注意 |
(備考)
1 「死亡」とは即死又は事故後24時間以内の死亡をいう。
2 「重傷」とは30日以上の治療を要すると診断されたものをいう。
3 「軽傷」とは30日未満の治療を要すると診断されたものをいう。
4 「飲酒運転」とは道路交通法に規定する酒気帯び運転又は酒酔い運転をいう。
5 上記の基準表は原則を示すものであって、個々の具体的処分にあたっては、事情により処分を加重又は軽減することができる。
6 次の各号に掲げる場合は、それぞれ当該各号に定めるところにより、加重又は軽減するものとする。
① 違反行為の累積がある場合 処分を加重する。
② 上記基準表の項目の2以上に該当する場合 処分を加重する。
③ 管理職(管理監督の任にあたる職員) 事情により処分を加重する。
④ 被害者にも過失がある場合 事情により処分を軽減する。
⑤ 事故後の措置義務を怠った場合 処分を加重する。
⑥ 交通事故又は交通法規違反を起こして、報告義務を怠ったり隠匿した場合 処分を加重する。
⑦ その他特に考慮すべき事情がある場合 事情により処分を軽減又は加重する。
7 事故を引き起こした者以外の者で、次の各号に該当するものについても処分することができる。
① 事故を引き起こした者(以下「事故者」という。)が車両を運転することを知りながら飲酒をすすめ、飲酒させた者
② 事故者が飲酒していることを知りながら、事故者が運転する車両に同乗した者
③ 事故者を監督すべき責任にある者