○壱岐市火災予防違反処理規程

平成30年8月31日

消防本部訓令甲第4号

目次

第1章 総則(第1条―第3条)

第2章 違反の処理

第1節 通則(第4条―第7条)

第2節 警告(第8条―第10条)

第3節 事前手続(第11条)

第4節 命令(第12条―第17条)

第5節 許可の取消し(第18条―第20条)

第6節 認定の取消し(第21条)

第7節 告発(第22条―第25条)

第8節 過料事件(第26条)

第9節 代執行(第27条―第29条)

第10節 略式の代執行(第30条)

第3章 補則(第31条―第33条)

第4章 雑則(第34条)

附則

第1章 総則

(趣旨)

第1条 この訓令は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)及び壱岐市火災予防条例(平成16年壱岐市条例第231号)に定める火災及び災害の予防に関する違反(火災予防又は火災による人命危険の排除を図るため、行政上の措置を必要とする状態又は行為を含む。以下「違反」という。)の処理について必要な事項を定めるものとする。

(定義)

第2条 この訓令において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号の定めるところによる。

(1) 違反処理 警告、命令、許可の取消し、告発又は代執行等によって、違反の是正又は出火危険、延焼拡大危険若しくは火災に係る人命危険(以下「火災危険」という。)の排除を図るための行政上の措置をいう。

(2) 警告 違反事項又は火災危険が認められる事項について、防火対象物等の関係者に当該違反の是正又は火災危険の排除を促す意思表示をいう。

(3) 不利益処分 行政手続法(平成5年法律第88号。以下「手続法」という。)第2条第4号に定める処分をいう。

(4) 聴聞 手続法第13条第1項第1号の規定に基づき、予定される不利益処分に関して、審理の場において意見陳述及び質問等の機会を与え、意見を聴くことをいう。

(5) 弁明 手続法第13条第1項第2号の規定に基づき、不利益処分の原因となる事実に関する意見陳述のための機会を与えることをいう。

(6) 命令 法の命令規定に基づき、強制的に違反の是正又は火災危険の排除を促す意思表示をいう。

(7) 催告 命令に従わない者に対して、当該命令事項の履行を督促する意思表示をいう。

(8) 公示 法第5条第3項及び第11条の5第4項の規定(他の条文において準用しているものを含む。)により、命令した事実を公表することをいう。

(9) 許可の取消し又は使用停止 法第12条の2第1項の規定に基づき、法第11条第1項の規定による許可の取消し又は期間を定めてその使用の停止をさせることをいう。

(10) 認定の取消し 法第8条の2の3第6項(法第36条第1項において準用する場合を含む。)の規定に基づき、同条第1項(法第36条第1項において準用する場合を含む。)の規定による特例認定の効力を消滅させる意思表示をいう。

(11) 過料事件の通知 法第46条の5の規定に基づき、法第8条の2の3第5項(法第36条第1項において準用する場合を含む。)の規定による届出を怠った者を過料に処せられる者として管轄地方裁判所に通知することをいう。

(12) 告発 刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)第239条第2項の規定に基づき、違反事実を捜査機関に申告し、違反者の訴追を求める意思表示通知をいう。

(13) 代執行 法令又は行政処分に基づく作為義務を行政代執行法(昭和23年法律第43号)第2条の規定に基づき、義務者の履行すべき行為を命令者自らが行い、又は第三者に行わせ、当該義務行為に係る費用を義務者から徴収することをいう。

(14) 略式の代執行 法第3条第2項又は第5条の3第2項の規定に基づき、行政庁が義務を命ずるべき者を確知しえない場合に代執行の措置をとることをいう。

(15) 履行期限 警告事項又は命令事項の履行に必要な合理的期間をいう。

(16) 行政措置権 法に基づく命令、許可及び特例認定の取消し、代執行並びに即時措置を行う権限をいう。

(17) 違反処理担当員 違反処理に従事する消防吏員をいう。

(違反処理上の基本的留意事項)

第3条 違反処理は、次に掲げる事項に留意して行わなければならない。

(1) 違反処理は、その違反実態を的確に把握するとともに、火災危険の重大性に着目し、時機を失することなく厳正かつ公平に行わなければならない。

(2) 違反処理を行うに当たっては、あらかじめ違反者に対し、違反の内容を具体的に説明し、適切に対処しなければならない。

(3) 違反処理を行った事案については、履行状況を確認するため適宜追跡調査を行い、その是正促進に努めなければならない。

第2章 違反の処理

第1節 通則

(違反処理基準及び措置区分)

第4条 違反処理は、「立入検査マニュアル」及び「違反処理マニュアル」の送付について(平成14年8月30日付け消防安第39号消防庁防火安全室長通知)による違反処理マニュアル及び危険物施設における立入検査及び違反是正の推進について(平成14年10月23日付け消防危第503号消防庁危険物保安室長通知)による危険物施設違反処理マニュアル(以下「違反処理基準」という。)により行うものとする。

2 違反処理の措置区分は、次のとおりとする。

(1) 警告

(2) 命令

(3) 催告

(4) 許可の取消し又は使用停止

(5) 認定の取消し

(6) 告発

(7) 過料事件の通知

(8) 代執行

(9) 略式の代執行

(違反処理の主体)

第5条 違反処理は、消防長が行うものとする。

(違反の調査及び報告)

第6条 消防吏員は、立入検査及び立入検査以外により違反を覚知したときは、消防長に報告しなければならない。

2 前項の報告を受けた消防長は、当該報告内容を検討し、違反処理担当員に実態調査を行わせるものとする。

3 違反処理担当員は、実態調査の結果を速やかに消防長に報告しなければならない。

(違反処理基準の適用)

第7条 消防長は、違反内容が違反処理基準に該当する場合は、当該基準に示す措置をとらなければならない。

2 消防長は、違反処理基準に従って違反処理することが適切でないと認められる合理的な理由が存するときは、措置を留保することができる。

3 消防長は、違反処理基準に該当しない違反事案に対しても、火災予防上必要と認めるものについては、火災危険の実態に即した違反処理を行うものとする。

4 消防長は、災害等の事案が発生した場合、必要により災害等の再発防止を図るための措置をとることができる。

第2節 警告

(警告)

第8条 警告は、次のいずれかに該当する場合に行うものとする。

(1) 立入検査等により違反の是正を指示したにもかかわらず、当該違反が是正されないとき。

(2) 前号に掲げるもののほか、違反の是正について警告を必要とするとき。

2 警告は、履行義務のある違反者に対し、警告書の交付により行うものとする。

(履行状況の確認)

第9条 消防長は、警告を行った場合、必要に応じて当該関係者に履行計画書を提出させるとともに、違反処理担当員に履行状況確認のための調査に当たらせなければならない。

2 前項の調査を行った違反処理担当員は、調査結果を消防長に報告するとともに違反処理の経過を記録しなければならない。

(上位措置への移行)

第10条 消防長は、前条第2項の報告により当該違反が是正されていないと認めた場合は、時機を失することなく、違反処理基準に示す措置区分に従った措置をとらなければならない。

第3節 事前手続

(聴聞及び弁明の機会の付与が必要な不利益処分)

第11条 消防長は、次条第1項により命令を行おうとするときは、壱岐市行政手続条例(平成16年壱岐市条例第9号)壱岐市行政手続条例施行規則(平成16年壱岐市規則第9号)及び壱岐市聴聞及び弁明の機会の付与の手続に関する規則(平成16年壱岐市規則第10号)に定める事務処理により行うものとする。

第4節 命令

(命令)

第12条 命令は、次のいずれかに該当する場合に行うものとする。

(1) 警告事項が履行期限を過ぎてもなお正当な理由なく履行されない場合で、命令を必要とするとき。

(2) 火災危険が大きく緊急に是正その他の措置を講ずる必要があるとき。

(3) 前2号に掲げるもののほか、違反内容について命令を必要とするとき。

2 法第3条第1項各号及び第5条の3第1項に規定する措置をとるべきことを命じた結果、なお命令が履行されていない場合は、命令を行った消防吏員が違反者に対して命令書を交付するものとする。

(命令の通知)

第13条 消防長は、法第11条の5第2項又は法第16条の3第4項の規定に関する命令については、許可をした市町村を管轄する消防本部の長に法第11条の5第3項の規定による通知を行うものとする。

(催告)

第14条 消防長は、命令を行った事案について履行期限を経過しても是正されていないときは、必要に応じて催告を行い履行の促進を図るものとする。

(命令の解除)

第15条 消防長は、命令の解除を要する事案で、受命者から命令要件の全部又は一部を履行したことにより、命令の解除の申出があったとき、又はその事実を知ったときは、その履行状況を確認し、命令解除要件を満たすと認めたときは、速やかに命令を解除するものとする。

(命令の留保)

第16条 消防長は、第11条の意見陳述を行った結果、命令を行うことが適切でないと認められる合理的な理由が存するときは、命令を留保することができる。

(公示及び公表)

第17条 消防長は、法第5条第1項、第5条の2第1項、第5条の3第1項、第8条第3項及び第4項(法第36条第1項において準用する場合を含む。)、第8条の2第5項及び第6項(法第36条第1項において準用する場合を含む。)、第8条の2の5第3項、第11条の5第1項及び第2項、第12条第2項、第12条の2第1項及び第2項、第12条の3第1項、第13条の24第1項、第14条の2第3項、第16条の3第3項及び第4項、第16条の6第1項並びに第17条の4第1項の各命令等を行った場合には、壱岐市火災予防規則(平成30年壱岐市規則第17号)第3条の規定による公示及び命令に係る査察対象物又は当該査察対象物のある場所への標識の設置の方法により公示を行うものとする。

2 前項の公示は、命令後速やかに公示し、当該命令の履行又は解除がなされるまでの間その状態を保たせるものとする。

3 消防長は、前項の規定によっては住民の安全を十分に確保することができないと判断されるとき、又は違反是正に効果があると認めるときは、必要な情報を公表することができるものとする。

第5節 許可の取消し

(許可の取消し又は使用停止)

第18条 許可の取消し又は使用停止は、次のいずれかに該当する場合に行うものとする。

(1) 法第12条の2第1項の規定に該当するとき。

(2) 法第12条の2第1項の規定による使用停止命令に従わないとき、又は従った場合においても、使用停止命令の原因となった違反が是正されないとき。

(3) 前2号に掲げるもののほか、違反内容について許可の取消し又は使用停止を行うことが必要と認めるとき。

(許可の取消しの報告)

第19条 違反処理担当者は、許可の取消しに相当すると認めるときは、報告書に必要な書類を添えて消防長に報告するものとする。

(許可の取消しの交付等)

第20条 消防長は、前条に規定する報告をもって取消しを決定したときは、直ちに許可取消書を作成し関係者に交付するものとし、取消しの留保を決定したときは、違反の是正に努めるものとする。

第6節 認定の取消し

(認定の取消し)

第21条 消防長は、法第8条の2の3第6項(法第36条第1項において準用する場合を含む。)の規定による認定の取消しに相当すると認めるときは、第11条の規定により、聴聞を行うものとする。

2 認定の取消しを行う場合は、防火対象物定期点検報告の特例認定等事務処理要領又は防災管理点検報告の特例認定等事務処理要領に定める認定取消書を交付することにより行うものとする。

第7節 告発

(告発)

第22条 告発は、次のいずれかに該当する場合に行うものとする。

(1) 命令事項が履行期限内に履行されない場合で、必要と認めるとき。

(2) 違反に起因する火災等の発生若しくは火災の拡大又は死傷者が発生した場合で、必要と認めるとき。

(3) 前2号に掲げるもののほか、特に必要があると認めるとき。

(関係機関等との事前調整)

第23条 告発を行おうとする場合は、関係機関との事前調整を行わなければならない。

(告発の手続)

第24条 告発は、当該事案の発生した場所を管轄する検察官又は警察署長に対して、告発書により行うものとする。

2 前項の告発書には、次に掲げるもののうち必要な資料を添えるものとする。

(1) 陳述書・投書の類

(2) 査察関係書類

(3) 火災調査関係書類

(4) 違反の現場証拠類

(5) 違反関係書類

(6) 違反の証拠類

(7) 商業登記簿等謄本

(8) その他特に必要と認められる資料

(捜査機関との協議)

第25条 告発を行うときは、違反の立証内容及び法的問題等について告発先と協議するものとする。

第8節 過料事件

(過料事件の通知)

第26条 消防長は、過料事件の通知に該当する違反事案を確知したときは、違反調査に着手しなければならない。

2 消防長は、前項の違反調査の結果、違反事実がある場合は、過料事件の通知の手続により、関係証拠を添付して、法第8条の2の3第5項(法第36条第1項において準用する場合を含む。)の規定による届出を怠った者の住所地を管轄する地方裁判所に通知するものとする。

第9節 代執行

(代執行)

第27条 違反者が命令事項を履行しない場合で、告発その他の方法によってはその履行が確保できず、消防長が特に必要と認めるときは、行政代執行法の定めるところにより代執行を行うものとする。

(関係行政機関等との調整)

第28条 消防長は、代執行に伴う作業等の計画を立て、関係行政機関等と調整を行わなければならない。

(証書の携帯)

第29条 消防長又は消防署長その他の消防吏員が、執行責任者として代執行の現場に赴くときは、代執行責任者証を携帯し、要求があるときは、いつでもこれを示さなければならない。

第10節 略式の代執行

第30条 消防長は、法第3条第2項及び第5条の3第2項の規定により、当該消防吏員に必要な措置をとらせた場合は、災害対策基本法(昭和36年法律第223号)第64条第3項から第6項までの規定を準用し、措置すべき物件の状態、所在場所の状況等を勘案して措置の方法を決定するものとする。

2 消防長は、当該物件の除去及び保管に要した費用があるときは、所有者等又は所有権を放棄した者に対し、民事上の手続及び保管費納付命令書を発することにより、当該費用を徴収するものとする。

第3章 補則

(関係官公署との連絡協調)

第31条 消防長は、立入検査において指摘した他法令の防火に関する規定の違反については、主管行政庁に通知するとともに、その改善指導に努めるものとする。

2 消防長は、他の法令違反が併存する対象物の違反是正措置等を講じる場合には、法第35条の13の規定により関係官公署に照会又は協力を求めるなど、適切な措置を講ずるよう相互の連携に努めるものとする。

3 消防長は、関係官公署から協力を求められたときは、必要に応じ協力するものとする。

(教示)

第32条 命令書、許可取消書、代執行の戒告書、代執行令書及び代執行費用納付命令書を交付するときは、行政不服審査法(平成26年法律第68号)に定めるところにより審査請求ができる旨を教示しなければならない。

(報告)

第33条 消防長は、法第3章の違反処理が完了したときは、市長に報告しなければならない。

第4章 雑則

(委任)

第34条 この訓令に定めるもののほか、必要な事項は、別に定める。

この訓令は、平成30年10月1日から施行する。

壱岐市火災予防違反処理規程

平成30年8月31日 消防本部訓令甲第4号

(平成30年10月1日施行)

体系情報
第12編 防/第3章 火災予防
沿革情報
平成30年8月31日 消防本部訓令甲第4号