○壱岐市文化財保護条例

平成16年3月1日

条例第101号

(目的)

第1条 この条例は、文化財保護法(昭和25年法律第214号。以下「法」という。)に基づき国の指定を受けた文化財及び長崎県文化財保護条例(昭和36年長崎県条例第16号。以下「県条例」という。)に基づき県の指定を受けた文化財以外の文化財で、壱岐市の区域内に存するもののうち重要なものを指定して、その保存及び活用のため必要な措置を講じ、もって市民の文化的向上に資するとともに、我が国文化の進歩に貢献することを目的とする。

(文化財の定義)

第2条 この条例で、「文化財」とは、次に掲げるものをいう。

(1) 有形文化財 建造物、絵画、彫刻、工芸品、書跡、典籍、古文書その他の有形の文化的所産で、歴史上又は芸術上価値の高いもの及び考古資料

(2) 無形文化財 演劇、音楽、工芸技術その他の無形の文化財的所産で、歴史上又は芸術上価値の高いもの

(3) 民俗文化財 衣食住、生業、信仰、年中行事等に関する風俗慣習及びこれに用いられる衣服、器具、家屋その他の物件で、市民の生活の推移の理解のため欠くことのできないもの

(4) 史跡 貝塚、古墳、都城跡、城跡、旧宅その他の遺跡で、歴史上又は学術上価値の高いもの

(5) 名勝 庭園、橋りょう、峡谷、海浜、山岳その他の名勝地で、芸術上又は観賞上価値の高いもの

(6) 記念物 動物、(生息地、繁殖地、渡来地を含む。)、植物(自生地を含む。)、地質鉱物(化石、特異な自然現象の生じている土地を含む。)で、学術上価値の高いもの

(財産権の尊重及び他の公益との調整)

第3条 教育委員会は、この条例の執行に当たっては、関係者の所有権その他の財産権を尊重するとともに、文化財の保護と他の公益との調整に留意しなければならない。

(指定)

第4条 教育委員会は、市の区域内に存する文化財(国及び県の指定したものを除く。)のうち、市にとって重要なものを市指定文化財として指定することができる。

2 前項の規定による指定をするには、あらかじめ指定しようとする文化財の所有者及び権原に基づく占有者の同意を得なければならない。ただし、所有者又は権原に基づく占有者が判明しない場合は、この限りでない。

3 第1項の規定による指定をするには、あらかじめ壱岐市文化財保護審議会の意見を聴くものとする。

4 無形文化財の指定に当たっては、当該無形文化財の保持者を認定しなければならない。

5 第1項の規定による指定をしたときは、当該市指定文化財の所有者又は保持者に指定書を交付しなければならない。

(解除)

第5条 教育委員会は、市指定文化財が文化財としての価値を失った場合、その他特殊の事由があるときは、市指定文化財の指定を解除することができる。

2 前項の規定による指定の解除には、あらかじめ壱岐市文化財保護審議会の意見を聴くものとする。

3 市指定の文化財について、法に基づく国の指定又は県条例に基づく県の指定があったときは、当該市指定文化財の指定は、解除されたものとする。

4 保持者が心身の故障のため保持者として適当でなくなったと認められる場合その他特殊な事情があるときは、保持者の認定を解除することができる。

5 保持者が死亡したときは、保持者の認定は解除されたものとし、保持者のすべてが死亡したときは、市指定無形文化財の指定は解除されたものとする。

6 市指定文化財の指定を解除したときは、その旨を当該指定文化財の所有者及び権原に基づく占有者に通知しなければならない。

(管理方法の指示)

第6条 教育委員会は、市指定文化財の所有者又は保持者に対し、管理上必要な助言又は指示をすることができる。

(所有者の管理義務)

第7条 市指定文化財の所有者又は保持者は、この条例及びこれに基づく教育委員会の指示に従い、市指定文化財を管理しなければならない。

2 市指定文化財の所有者が変更したときは、新所有者は、旧所有者に対し交付された指定書を添えて、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。

3 市指定文化財の全部又は一部が滅失し、若しくは損傷し、又はこれを亡失し、若しくは盗みとられたときは、所有者は、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。

4 市指定文化財の現状を変更しようとするときは、教育委員会の許可を受けなければならない。

5 市指定文化財を修理しようとするときは、所有者はあらかじめその旨を教育委員会に届け出なければならない。

(標識)

第8条 教育委員会は、市指定文化財の管理に必要な標識説明板、囲さくその他の施設を、必要に応じ設置するものとする。

(補助)

第9条 市は、市指定文化財の管理又は修理につき多額の経費を要し、所有者がその負担に堪えない場合その他特別の事情がある場合には、その経費の一部に充てさせるため、予算の範囲内で補助金を交付することができる。

2 補助金を交付する場合には、教育委員会が、管理又は修理に関し必要な事項を指示するとともに、必要があると認めるときは管理又は修理について監督することができる。

3 第1項の規定による補助金の交付を受けた所有者がこの条例に違反したとき、又は補助金を受けた目的以外のことに補助金を使用したときは、補助金の全部若しくは一部の返還を命ずることができる。

(公開)

第10条 教育委員会は、市指定文化財の所有者に対し期間を限って教育委員会の行う公開の用に供するため、市指定文化財を出品することを勧告することができる。

2 教育委員会は、前項の規定により市指定文化財が出品されたときは、管理の責任者を定めなければならない。

3 第1項の規定により出品し、又は公開したことに起因して当該文化財が滅失し、又は損傷したときは、市はその市指定文化財の所有者に対し、通常生ずべき損害を補償する。ただし、市指定文化財が所有者の責めに帰すべき事由によって滅失し、又は損傷した場合は、この限りでない。

(調査)

第11条 教育委員会は、必要があると認めるときは、市指定文化財の現状又は管理若しくは修理の状況について報告を求めることができる。

(文化財保護審議会及び委員)

第12条 教育委員会に、壱岐市文化財保護審議会(以下「審議会」という。)を設置する。

(委任)

第13条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、教育委員会が別に定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成16年3月1日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の日の前日までに、合併前の郷ノ浦町文化財保護条例(昭和49年郷ノ浦町条例第2号)、勝本町文化財保護条例(昭和42年勝本町条例第15号)、芦辺町文化財保護条例(昭和42年芦辺町条例第37号)又は石田町文化財保護条例(昭和42年石田町条例第1号)の規定によりなされた処分、手続その他の行為は、それぞれこの条例の相当規定によりなされた処分、手続その他の行為とみなす。

壱岐市文化財保護条例

平成16年3月1日 条例第101号

(平成16年3月1日施行)