○壱岐市情報公開条例の解釈及び運用基準

平成16年3月1日

訓令第8号

第1章 総則

第1条 目的

(目的)

第1条 この条例は、市民の知る権利を尊重し、行政文書の公開を請求する権利を明らかにするとともに、行政文書の公開について必要な事項を定めることにより、市政の諸活動を市民に説明する責務を全うし、もって市民参加の公正で開かれた市政を一層推進することを目的とする。

【趣旨】

本条は、この条例の目的を明らかにしたものであり、条例全体の解釈の指針となるものである。

【解釈・運用】

1 「市民の知る権利」とは、憲法上明文の規定はないものの、国民主権の原理、表現の自由の保障等から必然的に導かれるべき国民の権利として、また、地方自治の本旨を全うするための市民の権利としての位置づけを持つものであり、後述の「市政の諸活動を市民に説明する責務」とあいまって、情報公開制度が係る権利に根ざすものであることを明らかにする意味で本条において掲げたものである。

2 「行政文書の公開を請求する権利を明らかにする」とは、実施機関が保有する行政文書の公開を求める権利を創設することを明らかにしたものである。

したがって、実施機関は、条例で定める要件を満たした行政文書の公開請求に対しては、当該行政文書を公開する条例上の義務を負うものである。

3 「市政の諸活動を市民に説明する責務を全うし」とは、市民から市政を負託された市が、この条例の規定に基づき行政文書を公開及び情報を提供する義務並びに市政の諸活動の状況を明らかにし、市民に説明する責務を果たしていくことをいうものである。

4 「市民参加の公正で開かれた市政を一層推進する」とは、市政に関する情報を広く公開することにより、市民の市政に対する理解と信頼を深め、市民が積極的に参加する民主的な市政を一層推進することをいうものである。

第2条 定義

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 実施機関 市長、教育委員会、選挙管理委員会、監査委員、農業委員会、固定資産評価審査委員会、公営企業管理者、消防長及び議会をいう。

(2) 行政文書 実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。)であって、当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が保有しているものをいう。ただし、次に掲げるものを除く。

ア 一般に容易に入手することができるもの又は一般に利用することができる施設において閲覧若しくは視聴に供されているもの

イ 市の図書館等において歴史的若しくは文化的な資料又は学術研究用の資料として特別に管理しているもの

【趣旨】

本条は、この条例において用いられる「実施機関」及び「行政文書」の定義を定めたものである。

【解釈・運用】

(1) 「実施機関」とは、地方自治法(昭和22年法律第67号)により、独立して事務を管理し、執行する権限を有する執行機関(市長、教育委員会、選挙管理委員会、監査委員、固定資産評価審査委員会、農業委員会)をいい、各実施機関の行政組織規則等により定められる各課、施設等の全体を含む。

(2) 議会は、地方自治法上の議決機関であるが、市全体として広く制度の実施に取り組む必要があるという認識から、執行機関等とともに実施機関とした。

(1) 「職務上作成し、又は取得した」とは、実施機関の職員が、法令、条例、規則、規程、訓令、通達等に基づき与えられた任務又は権限の範囲内において事実上作成し、又は取得したことをいう。

(2) 「文書、図画及び電磁的記録」とは、この条例の対象となる公文書の範囲を情報の記録の形態により定めたものである。

ア 「文書」とは、ある情報を文字、記号を用いて紙等の有体物の上に直接再現させたものであって、視覚的に直接知覚することができるものをいい、具体的には起案文書、供覧文書、台帳、電算出力帳票類等をいう。

イ 「図画」とは、ある情報を象形を用いて紙等の有体物の上に直接再現させたものであり、具体的には、地図、図面、ポスター、写真、フィルム等をいう。

ウ 「電磁的記録」とは、電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいい、具体的には、磁気テープ(ビデオテープ、録音テープ等)、光ディスク(コンパクトディスク等)、磁気ディスク(フロッピーディスク等)等に記録されたものをいう。

(3) 「当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が保有しているもの」とは、当該実施機関がその組織において業務上の必要性に基づいて利用・保存している状態にあるものをいう。したがって、例えば、職員が起案の下書きをしている段階のもの、職員会議の資料を作成している段階のもの等までを公開の対象とするものではない。また、正式文書が上記文書に当たるときでも、職員が自己の執務の便宜のためにその写しを保有している場合、当該写しは、対象文書ではない。

なお、文書取扱規程等に基づき廃棄された文書については、公開の対象とはならないが、保存期間が満了していても廃棄されずに現に保有しているものは、公開の対象となる。

(4) 「ただし書ア」 官報、公報、白書、新聞、雑誌、書籍等既に公にされている文書等は、書店等で購入し、又は公共の図書館等の施設でその内容を容易に知ることができるため、この条例の対象外としたものである。

「ただし書イ」 特別に管理されている資料は、その保存、学術研究への寄与等の観点からそれぞれ定められた公開範囲、手続等の基準に従った利用に委ねるべきであるため、この条例の対象外としたものである。

第3条 実施機関の責務

(実施機関の責務)

第3条 実施機関は、この条例の解釈及び運用に当たっては、行政文書の公開を請求するものの権利を十分に尊重するとともに、個人に関する情報がみだりに公にされることのないよう最大限の配慮をしなければならない。

【趣旨】

本条は、この条例の解釈及び運用をするに当たっての基本的な考え方を定めたものである。

【解釈・運用】

1 「行政文書の公開を請求するものの権利を十分に尊重する」とは、実施機関が行政文書の公開・非公開の判断をする場合だけでなく、行政文書の公開請求に関する手続等を含めて、公開を請求するものの知る権利を尊重し、原則公開の立場に立った適正な対応を行わなければならないとするものである。

2 「個人に関する情報がみだりに公にされることのないよう」とは、思想、心身の状況、病歴、学歴、職歴、成績、親族関係、所得、財産の状況その他個人に関する一切の情報は、公開を原則とする情報公開制度の下においても、最大限に保護されるべきであり、正当な理由なく公にされてはならないことを明らかにしたものである。

第4条 利用者の責務

(利用者の責務)

第4条 行政文書の公開を請求するものは、この条例の目的に従いその権利を正当に行使するとともに、これによって得た情報を適正に使用しなければならない。

【趣旨】

本条は、行政文書の公開を請求する権利を行使するものと、これによって情報を得たものの責務を定めたものである。すなわち、第1条に定める住民参加の公正で開かれた市政を一層推進するという目的に従って情報公開制度を利用すべきこと、またこれによって得た情報を濫用して第三者の権利を侵害するようなことがあってはならないことを定めるものである。

【解釈・運用】

1 実施機関は、行政文書の公開を受けるものに対し、これによって得た情報を適正に使用するように指導するものとする。

2 実施機関は、行政文書の公開を受けたものがこれによって得た情報を不適正に使用したことが確認できたときは、その使用の中止を要請するものとする。

第2章 行政文書の公開

第5条 公開請求権

(公開請求権)

第5条 何人も、この条例の定めるところにより、実施機関に対し、当該実施機関の保有する行政文書の公開を請求することができる。

【趣旨】

本条は、この条例に基づき行政文書の公開を請求することができるものの範囲を定めたものである。

【解釈・運用】

1 この条例に基づく行政文書公開請求権を行使できるもの(請求権者)の範囲については、次の理由により住民に限定せず、「何人(なんびと)」とした。

(1) 情報化社会の進展により、情報が地域的に限定された範囲で流通することは考えにくく、したがって請求権者を限定する積極的意義は乏しいこと。

(2) 市の行政は、市の有権者のみが関わりを持つとは限られず、他の自治体及びその住民との間においても、有機的なつながりをもちながら活動することが多くなっており、今後も一層このような方向をたどることが想定されること。

2 「何人」とは、日本国民のほか、外国人も含まれる。

また、自然人、法人のほか、民事訴訟法(平成8年法律第109号)第29条、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第10条において当事者能力が認められる「法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるもの」も含まれる(第7条第3号(法人等に関する情報)の解釈・運用2参照)

3 外国人からの請求であっても、公開請求に関する書面は日本語で記載するものとする。

4 中学生以下の者からの公開請求については、情報公開制度の趣旨、公開を請求する情報の意義、内容等を単独で理解することが困難であると認められる場合には、法定代理人の立会いまた法定代理人による請求を求めるものとする。

第6条 公開請求の手続

(公開請求の手続)

第6条 前条の規定による公開の請求(以下「公開請求」という。)は、次に掲げる事項を記載した書面(以下「公開請求書」という。)を実施機関に提出して行わなければならない。

(1) 公開請求をするものの氏名又は名称及び住所又は居所並びに法人その他の団体にあっては代表者の氏名

(2) 行政文書の名称その他の公開請求に係る行政文書を特定するに足りる事項

(3) 前2号に掲げるもののほか、規則で定める事項

2 実施機関は、公開請求書に形式上の不備があると認めるときは、公開請求をしたもの(以下「公開請求者」という。)に対し、相当の期間を定めて、その補正を求めることができる。この場合において、実施機関は、公開請求者に対し、補正の参考となる情報を提供するよう努めなければならない。

【趣旨】

本条は、行政文書の公開請求についての具体的な請求方法を定めたものである。

【解釈・運用】

(1) 本項は、公開請求が、請求者の権利行使として公開の可否決定という行政処分を求める申請手続であり、請求に関する事実関係を明らかにし、後日の紛争を防止する等手続の正確を期する必要があることから、書面によりこれを行わなければならないこととしたものである。

(2) 「その他の公開請求に係る行政文書を特定するに足りる事項」とは、公開請求者が、行政文書の件名を明記することができない場合に、実施機関の職員が、合理的な努力をすることにより、当該請求に係る行政文書を特定できる程度の記載のことをいう。

(1) 本項は、補正の場面において補正に必要な情報を提供すべき責務を実施機関に課すものである。

(2) 「公開請求書に形式上の不備があると認めるとき」とは、記載事項に漏れがある場合や、記載に不備があり公開請求に係る行政文書を特定することができない場合等をいう。なお、請求書に記載された事項のうち、明らかな誤字、脱字等の軽微な不備については、実施機関において職権で補正できるものとする。

(3) 「相当の期間」とは、当該補正をするために社会通念上必要とされる期間をいい、個々のケースによって判断されるべきものである。

(4) 「補正の参考となる情報」とは、文書検索目録その他公開請求者が行政文書を特定するために必要な情報をいう。

(5) 公開請求は、遠隔地の請求者の利便等を考慮して、郵送又はファクシミリの利用も認めるものとする。ただし、請求の対象となる行政文書の特定が容易かつ確実に行えるものについてのみ認めるものとする。なおこの場合、当該公開請求書が実施機関の窓口又は主務課に到達した日を受付日、すなわち本条例第12条第1項にいう「公開請求があった日」とする。

第7条 行政文書の公開義務

(行政文書の公開義務)

第7条 実施機関は、公開請求があったときは、公開請求に係る行政文書に次の各号に掲げる情報(以下「非公開情報」という。)のいずれかが記録されている場合を除き、公開請求者に対し、当該行政文書を公開しなければならない。

【趣旨】

本条は、実施機関は、適法な公開請求があった場合は、公開請求に係る行政文書に非公開情報が記録されている場合を除き、公開請求者に対し、当該行政文書を公開すべき義務を負うという、原則公開の基本的枠組みを定めたものである。

【解釈・運用】

1 実施機関は、公開請求に係る行政文書に本条各号(別掲)に定める非公開情報が記録されている場合を除き、当該行政文書を公開しなければならない。

なお、公開請求に係る行政文書の一部に非公開情報が記録されているときは、部分公開(第8条)の問題である。

2 ある非公開情報(又はその一部分)が同時に他の非公開情報に該当することもあることに注意する必要がある。

3 条例上の非公開情報と地方公務員法(昭和25年法律第261号)第34条に規定する公務員の守秘義務との関係については、様々な考え方がなされているのが現状であるが、少なくとも、情報公開制度の下で実施機関が非公開情報に該当しないと判断して公開した場合は、組織として判断し、機関として正式に決定するものである以上、職員個人の服務上の守秘義務違反は問われないものと考えられる。

※なお、本条各号に該当する非公開情報の具体例については、別掲の表を参照してください。

第7条第1号 法令秘情報

(1) 法令又は条例(以下「法令等」という。)の定めるところにより、明らかに公にすることができない情報

【趣旨】

本号は、法令等の規定により公にすることができない情報は、本条例によっても公開できないことを確認的に規定したものである。

【解釈・運用】

1 「法令」とは、法律、政令、府令、省令その他国の機関が定めた命令をいう。また、「条例」とは、本条例以外の本市の条例をいう。

2 「明らかに公にすることができない情報」とは、当該法令等に公にすることができないことが明確に定められている場合はもとより、法令等の趣旨、目的などから見て公開することができないと明白に判断されるものをいい、例えば次のようなものをいう。

(1) 明文の規定により、公にすることが禁止されている情報

例)印鑑登録原票その他印鑑の登録及び証明に関する書類(壱岐市印鑑条例(平成16年壱岐市条例第11号)第16条)

(2) 個別法に基づき、具体的な守秘義務が課せられている情報

例)地方税に関する調査で知り得た秘密(地方税法(昭和25年法律第226号)第22条)

(3) 他目的使用が禁止されている情報

例)指定統計調査票(統計法(昭和22年法律第18号)第15条)

3 いわゆる法的拘束力のある指示(法定受託事務における各大臣等からの指示)については、本号ではなく、その具体的内容に応じて、本条第5号(審議、検討又は協議に関する情報)ないしは本条第6号(事務又は事業の執行に関する情報)においてその公開の適否を判断することになる。

4 「公にすることができない」とは、公開を請求したもののみならず、何人にも明らかにすることができないことをいう。

第7条第2号 個人に関する情報

(2) 個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)又は特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの。ただし、次に掲げる情報を除く。

ア 法令等の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報

イ 人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報

ウ 当該個人が公務員(国家公務員法(昭和22年法律第120号)第2条第1項に規定する国家公務員及び地方公務員法(昭和25年法律第261号)第2条に規定する地方公務員をいう。)である場合において、当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは、当該情報のうち、当該公務員の職、氏名及び当該職務遂行の内容に係る部分

【趣旨】

本号は、個人に関する情報の非公開情報としての要件を定め、この要件に該当する情報は原則として非公開とした上で、個人の権利利益を侵害する度合いが低いと思われるものや、高度の公益性が認められる一定の場合について、ただし書で例外的に非公開情報から除外することとしたものである。

個人のプライバシーは、憲法の根本理念としての個人の尊厳を守るため最大限に尊重されるべきであり、公開を原則とする情報公開制度においてもその趣旨は等しく当てはまるものである。本号の非公開情報は係る趣旨を踏まえたものであるが、その要件については、特定の個人を識別することができる情報であれば原則としてこれに該当することとし、プライバシーに関わる情報であるか否かについての判断には立ち入らずに原則的に非公開とすることとした。これは、プライバシーの具体的な内容が法的にも社会通念上も必ずしも明確ではなく、どのような情報がプライバシー保護のため非公開とされるべきかについて、一律に確定することは困難であると考えられるからである。

【解釈・運用】

1 「個人に関する情報」とは、次のような情報など、個人に関するすべての情報をいう。

(1) 思想、信条、信仰等個人の内心の秘密に関する情報

(2) 職業、資格、犯罪歴、学歴、所属団体等個人の経歴、社会的活動に関する情報

(3) 所得、資産等個人の財産状況に関する情報

(4) 体力、健康状態、病歴等個人の心身の状況に関する情報

(5) 家族関係、生活記録等個人の家族、生活状況に関する情報

(6) 前各号に掲げるもののほか、特定の個人が識別され、又は識別されうる情報

なお、「個人」には、生存する個人のほか、死亡した個人も含まれる。

2 「事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く」とは、個人に関する情報であっても、事業を営む個人の当該事業に関する情報は、性質上、本条第3号で判断するものとし、本号にいう個人情報からは除外するという趣旨である。なお、事業を営む個人に関する情報であっても、当該事業とは直接関係のない個人に関する情報は、本号に含まれる。

3 「特定の個人を識別することができるもの」とは、氏名、生年月日その他の記述等の記載から直接的に特定の個人を識別することができる情報をいう。

4 「他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるもの」とは、当該情報と他の情報を照合することによって、間接的に特定の個人を識別することができることとなる情報をいう。

5 「特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの」とは、例えば未公表の著作物(事業を営む個人としてのものを除く。)を実施機関の審議の参考として提供した場合における当該著作物などのように、仮に個人識別性のある部分を除いて公開するとしても、依然として「個人の権利利益を害するおそれ」がある情報をいう。

6 ただし書アについて

法令等の規定により公にされている情報(商業登記法(昭和38年法律第125号)に基づき会社登記簿に登記されている法人の役員に関する情報や、不動産登記法(明治32年法律第24号)に基づき不動産登記簿に登記されている当該不動産の権利関係に関する情報等)や、慣行として公にされている情報(表彰受賞者名簿、審議会等の委員名簿等で慣行上公にしているもの等)は、一般に公表されている情報であり、これを公開することにより、場合により個人のプライバシーを害するおそれがあるとしても、性質上当該個人の受忍限度内のものであると考えられるので、これを公開することとしたものである。

7 ただし書イについて

(1) プライバシーを中心とする個人の正当な権利利益は、その性質上、手厚く保護されるべきであるが、これに優越する公益がある場合は、これを非公開とすべき合理的理由は認め難いため、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報については、公開することとしたものである。

(2) 「公にすることが必要であると認められる情報」に該当するかは、非公開とすることにより保護される利益と公開されることにより保護される利益とを比較衡量して判断することになる。

この点、個人に関する情報の中には個人的な性格が強いものから社会的な性格が強いものまで様々なものがあり、あるいは人の生命、健康等の保護と生活、財産の保護とでは、公開されることにより保護される利益の程度にも差があるため、上記判断に当たっては、比較されることとなる権利利益のそれぞれの性質及び内容に着目した上で実質的かつ慎重な衡量をすることが必要である。特に個人の人格的価値にかかわるような権利利益については、より慎重な配慮が必要となる。

(3) 「人の生命、健康、生活又は財産を保護するため」とは、これらの法益が現実に侵害されている場合はもちろん、侵害されるおそれがある場合を含む。

8 ただし書ウについて

(1) 「その職務の遂行に係る情報」とは、公務員が、その組織上の地位に基づいて所掌する事務を遂行したことにより記録される情報をいう。したがって、公務員の職員としての身分取扱いに係る情報などについては、当該公務員にとっては、その職務遂行に係る情報には該当しない。

(2) 「その職務の遂行に係る情報」に含まれる公務員の職、氏名及び当該職務遂行の内容に関する情報は、特定の公務員を識別し得る情報として個人に関する情報に該当するものであるが、市の説明責任の観点から、公開することとしたものである。

(3) 「国家公務員法第2条第1項に規定する国家公務員」には、一般職のみならず特別職も含むので、同法第2条第3項に規定する国務大臣、国会議員、裁判官等も本号の公務員に含まれる。

「地方公務員法第2条に規定する地方公務員」についても、一般職と特別職の双方を含むことから、地方議会議員、審議会等の構成員の職で臨時又は非常勤の者等も含まれる。

第7条第3号 法人等に関する情報

(3) 法人その他の団体(国及び地方公共団体を除く。以下「法人等」という。)に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、次に掲げるもの。ただし、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報を除く。

ア 公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの

イ 実施機関の要請を受けて、公にしないとの条件で任意に提供されたものであって、法人等又は個人における通例として公にしないこととされているものその他の当該条件を付することが当該情報の性質、当時の状況等に照らして合理的であると認められるもの

【趣旨】

本号は、法人等又は事業を営む個人の自由な事業活動を尊重する観点から、公にすることによりこれらのものの事業活動その他正当な権利利益を害するような情報については、原則としてこれを非公開とする旨を定めたものである。

また、公益性確保の観点から公にすることが必要であると認められる一定の場合について、例外的にこれを公開する旨についても併せて定めたものである。

【解釈・運用】

1 「法人」とは、営利法人、公益法人、社会福祉法人、学校法人、宗教法人等であって、国及び地方公共団体を除くすべての法人をいう。

2 「その他の団体」とは、民事訴訟法第29条及び行政不服審査法第10条において「法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるもの」として当事者能力が認められる団体をいい、具体的には次のようなものが挙げられる。

<代表者の定めのある社団>

人の結合体であって、その団体の活動を基礎付けるものとして構成員から独立して管理される特別な財産を持ち、現実の社会において代表者を通じて当事者としてその名で取引などの活動をなすことが事実上できるような団体をいい、学会、同業会、校友会、町内会、運動団体等がこれに当たる。

<管理者の定めのある財団>

寄付者の帰属を離れ、一定の目的のために結合された財産の集合体で、独立の管理機構に服しているものをいい、設立中の財団法人や、財団の実質は備えているが主務官庁の許可を受けていない育英会などがこれに当たる。

3 「事業を営む個人」とは、地方税法第72条第5項から第7項までに掲げる事業を営む個人のほか、農業、林業等を営む個人をいう。

4 「当該事業に関する情報」とは、営利を目的とするか否かを問わず、事業内容、事業所、事業用資産、事業所得等事業活動に関する一切の情報をいい、その事業活動と直接関係のない個人に関する情報(例えば、事業を営む個人の家族構成、事業と区別される個人の財産、所得等)は、本号に該当せず、第2号で判断するものである。

5 ただし書は、法人等又は個人の事業活動によって危害(公害、薬害等)が生じ、又は生ずるおそれがある場合に、危害の未然防止、拡大防止又は再発防止を図り、その危害から人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報は公開する旨を定めたものである。この場合、現実に危害が発生している場合のほか、その発生の蓋然性が高い場合も含まれ、その事業活動が違法又は不当であるか否かを問わない。

「公にすることが必要であると認められる」情報に該当するかどうかについては、非公開とすることにより保護される利益と公開することにより保護される利益を比較衡量して判断することとなる。その判断の際には、比較されることとなる権利利益のそれぞれの性質及び内容に着目した上で、実質的かつ慎重な衡量をすることが必要である。

6 アについて

(1) 「正当な利益を害するおそれがあるもの」とは、当該法人等又は当該個人の生産・技術・販売上のノウハウ、運営方針、人事、労務管理等の情報で、公にすることにより、当該法人等又は当該個人の事業活動が損なわれると認められるもの及び公にすることによりその社会的信用又は社会的評価が低下するものをいい、必ずしも経済的利益の概念でとらえられないものを含むものである。

(2) 法人等には、前述のとおり様々な種類のものがあるので、「正当な利益を害するおそれ」の有無は、当該法人等と行政との関係や、当該法人等の憲法上の権利(信教の自由、学問の自由等)の保護の必要性等それぞれの法人等及び情報の性格に応じて適正に判断する必要がある。

7 イについて

(1) 法人等及び事業を営む個人に関する情報であって、非公開を条件として提供を受けた、いわゆる任意提供情報の取扱いを定めたものであり、当該情報については、非公開の条件が付されていることを理由にすべて非公開とするものではなく、当該条件を付することが合理的と認められる場合に限り非公開とすることを明らかにしたものである。

(2) 「任意に提供されたもの」とは、法令等の根拠に基づかずに提供された情報をいう。なお、実施機関が法令等の定める権限に基づき強制的に入手し得る情報ではあるが、当該権限を行使せず行政指導等により任意の提供を受けたものについては、「任意に提供された」情報には該当しないものである。

(3) 「通例として公にしないこととされているもの」に該当するためには、当該情報が現に公にされていないというだけでは足りず、当該情報の性質上、一般的に、公にしないことが相当と認められる場合をいう。

(4) 「当時の状況等」とは、公にしないとの約束を付することの合理性の判断は、当該情報の提供当時の諸般の事情を基本として判断するが、必要に応じその後の事情の変化もしんしゃくして判断するとの趣旨である。

第7条第4号 公共の安全等に関する情報

(4) 公にすることにより、犯罪の予防又は捜査その他の公共の安全の確保と秩序の維持に支障が生ずるおそれがあるもの

【趣旨】

本号は、公にすることにより、犯罪の予防又は捜査その他の公共の安全の確保と秩序の維持に支障が生ずるおそれがある情報は、非公開とする旨を定めたものである。

【解釈・運用】

1 「犯罪の予防」とは、刑事犯、行政犯を問わず、犯罪行為の発生を未然に防止することをいう。例えば、犯罪を誘発するおそれのある情報を公開しないこともこれに含まれる。

2 「捜査」とは、刑事手続における捜査機関が、公訴の提起及び遂行のため、証拠を発見し、収集し、保全し、又は被疑者を発見し、掌握し、必要があればその身柄を拘束して保全する活動をいう。

3 「その他の公共の安全及び秩序の維持」とは、犯罪の予防及び捜査活動のほか、平穏な社会生活、社会の風紀その他の公共の安全と秩序を維持するために必要な警察活動等をいう。

4 「支障が生ずるおそれがある」とは、公共の安全と秩序を維持する諸活動が阻害され、又は適正に行われなくなる可能性がある場合をいう。

第7条第5号 審議、検討又は協議に関する情報

(5) 市の機関並びに国及び他の地方公共団体の内部又は相互間における審議、検討又は協議に関する情報であって、公にすることにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、不当に市民の間に混乱を生じさせるおそれ又は特定のものに不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれがあるもの

【趣旨】

本号は、市の機関等における意思決定前の情報を公にすることにより、市及び国等の機関の意思決定に支障が生じ、また、市民の間に誤解や混乱等が生じたりすることのないように、これらの情報について、公開しない旨を定めたものである。なお、本号で想定する各支障についてはそれぞれ「不当に」という文言を付することで、非公開とする範囲を極力限定することとし、情報公開制度の趣旨との調和を図ったものである。

【解釈・運用】

1 「市の機関」とは、市のすべての機関をいい、執行機関、議会及びこれらの補助機関のほか、執行機関の附属機関をも含む。

2 「市の機関並びに国及び他の地方公共団体の内部又は相互間」とは、

(1) 市の機関の内部

(2) 国又は他の地方公共団体の内部

(3) 市の機関の相互間

(4) 国又は他の地方公共団体の相互間

(5) 市の機関と国又は他の地方公共団体の相互間

3 「審議、検討又は協議に関する情報」とは、次のようなものをいう。

(1) 審議、検討又は協議に直接使用する目的で作成し、又は取得した情報

例)会議資料に記載された情報

(2) 審議等の経過、内容等に関する情報

例)議事録に記載された情報

4 「率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ」があるものとは、市の機関等の内部又は相互間における審議等に関する情報のうち、それが公にされると外部からの圧力や干渉等を受けることなどにより、率直かつ活発な意見の交換が阻害され、十分な議論のなされない意思決定をもたらすおそれがあるもの、又は係る外圧等により、当該意思決定の中立性が看過し得ないほどに損なわれるおそれがあるものをいい、係る弊害が生ずるにつき、実施機関において立証可能な程度に高度の蓋然性が認められるものをいう。

5 「不当に住民の間に混乱を生じさせるおそれ」があるものとは、機関内部で審議中の事案に係る情報等のうち、内容の正確性や確定性が未だ担保されているとはいえない未成熟な情報であって、尚早な時期に公にされることにより、住民に無用の誤解を与え、又は無用の混乱を招く蓋然性が高いと認められるものをいう。

6 「特定のものに不当に利益を与え、若しくは不利益を及ぼすおそれ」があるものとは、尚早な時期に公にされることにより、投機を助長するなどして特定の者に利益を与え、又は不利益を及ぼす蓋然性が高いと認められるものをいう。

第7条第6号 事務事業の執行に関する惰報

(6) 市の機関又は国若しくは他の地方公共団体が行う事務又は事業に関する情報であって、公にすることにより、次に掲げるおそれその他当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの

ア 監査、検査、取締り又は試験に係る事務に関し、正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし、若しくはその発見を困難にするおそれ

イ 契約、交渉又は争訟に係る事務に関し、市、国又は他の地方公共団体の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害するおそれ

ウ 調査研究に係る事務に関し、その公正かつ能率的な遂行を不当に阻害するおそれ

エ 人事管理に係る事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれ

オ 市、国又は他の地方公共団体が経営する企業に係る事業に関し、その企業経営上の正当な利益を害するおそれ

【趣旨】

本号は、市の機関又は国若しくは他の地方公共団体が行う事務又は事業に関する情報の非公開情報としての要件を定めたものである。

【解釈・運用】

1 「事務又は事業に関する情報」とは、当該事務又は事業に直接関わる情報だけでなく、当該事務又は事業の実施に影響を与える関連情報を含む。

2 本号のアからオまでは、市の機関又は国若しくは他の地方公共団体が行う事務又は事業を、その内容・性質から分類し、各分類ごとに公にすることにより生ずる典型的な支障を列挙したものである。したがって、アからオに掲げる場合に該当しなくても、「当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」がある限り非公開とされる。

3 当該事務事業の実施後であっても、監査、検査、取締り又は試験に係る事務等のように、同種のものが反復されるような性質の事務又は事業にあっては、ある個別の事務又は事業に関する情報を公開すると、将来の同種の事務又は事業の適正な遂行に支障が生ずることがあるため、「当該事務又は事業」に含まれる。

4 「当該事務又は事業の性質上」とは、当該事務又は事業の性質に照らして保護する必要がある場合のみ非公開とすることができることとする趣旨である。

5 「当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの」とは、事務又は事業に関する情報を公にすることによる利益と支障とを比較衡量した結果、公にすることの公益性を考慮してもなお、当該事務又は事業の適正な遂行に及ぼす支障が看過しえない程度のものをいう。この場合、「支障を及ぼすおそれ」は、単なる抽象的な可能性では足りず、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を生じることについて、法的保護に値する蓋然性が認められなければならない。

第8条 公文書の部分公開

(行政文書の部分公開)

第8条 実施機関は、公開請求に係る行政文書の一部に非公開情報が記録されている場合において、非公開情報が記録されている部分を容易に区分して除くことができるときは、公開請求者に対し、当該部分を除いた部分につき公開しなければならない。ただし、当該部分を除いた部分に有意の情報が記録されていないと認められるときは、この限りでない。

2 公開請求に係る行政文書に前条第2号の情報(特定の個人を識別することができるものに限る。)が記録されている場合において、当該情報のうち、氏名、生年月日その他の特定の個人を識別することができることとなる記述等の部分を除くことにより、公にしても、個人の権利利益が害されるおそれがないと認められるときは、当該部分を除いた部分は、同号の情報に含まれないものとみなして、前項の規定を適用する。

【趣旨】

 1 本条第1項は、行政文書の一部に非公開情報が記録されている場合における実施機関の部分公開の義務及びその要件を明らかにしたものである。

2 本条第2項は、公開請求に係る行政文書の全部又は一部に個人識別情報(非公開情報)が記録されている場合に、個人識別性のある部分とそれ以外の部分とを区分して取り扱うべき場合及びその場合における非公開とする範囲について定めたものである。

【解釈・運用】

(1) 部分公開を行わなければならないのは、「非公開情報が記録されている部分を容易に区分して除くことができるとき」であり、行政文書のどの部分に非公開情報が記録されているかという記載部分の区分けが困難な場合や、区分けは容易であるがその部分の分離が技術的に困難な場合(電磁的記録の場合等)には部分公開の義務がなく、公開しない旨の決定を行うこととなる。

なお、行政文書の量が多く、時間・労力を要することは、区分・分離の容易性とは関係がない。

(2) 「当該部分を除いた部分に有意の情報が記録されていないと認められるとき」とは、残りの部分に記載されている内容が公表情報のみとなる場合、無意味な文字・数字等の羅列となる場合等をいう。このような場合は、公開をしない旨の決定を行うこととなるが、当該決定に際しては、「非公開情報の記載部分を除くと、○○のような状態になるので、有意の情報が含まれなくなると認められる」などの理由を明らかにする必要がある。

(1) 非公開情報と非公開情報に該当しないものが混在している通常の部分公開(本条第1項)の場合と、全体として非公開情報に該当するが、個人識別性のある部分を除くことにより公開しても支障がなくなる場合とは、性質を異にするので、後者について、本項を設け、別に定めたものである。

(2) 「同号の情報に含まれないものとみなして、前項の規定を適用する」とは、氏名、住所等の個人識別性のある部分を除くことにより、公にしても個人の権利利益が害されるおそれがないと認められる場合は、個人識別性のある部分を除いた部分は、第7条第2号の個人情報には含まれないものとみなして公開しなければならないとする趣旨である。

(3) 個人識別性のある部分を除いて公開しても、例えば、未発表の論文等、個人の権利利益を害するおそれのあるものは、本項の部分公開の対象とはならない。

第9条 行政文書の存否に関する情報

(行政文書の存否に関する情報)

第9条 実施機関は、公開請求に係る行政文書が存在しているか否かを答えるだけで、特定の個人の生命、身体又は名誉が侵害されると認められる場合に限り、当該行政文書の存否を明らかにしないで、当該公開請求を拒否することができる。

【趣旨】

公開請求に対しては、当該公開請求に係る行政文書の存否を明らかにし、公開又は非公開を決定すべきであるが、本条はその例外として、行政文書の存否を明らかにしないで公開請求を拒否すること(存否応答拒否)ができる場合について定めたものである。もっとも、存否応答拒否は、濫用のおそれも大きいことから、「特定の個人の生命、身体又は名誉が侵害されると認められる場合」に限定したものである。

【解釈・運用】

1 「公開請求に係る行政文書が存在しているか否かを答えるだけで、特定の個人の生命、身体又は名誉が侵害されると認められる場合」とは、例えば、特定の個人の病歴に関する情報、特定の児童のいじめに関する情報、特定個人の生活保護相談に関する情報など、公開請求に対し「当該行政文書は存在するが非公開とする」又は「当該行政文書は存在しない」と回答するだけで、本来的に非公開情報として保護すべき利益が害されることとなる場合をいう。

2 本条により公開請求を拒否するときは、第10条第2項の公開しない旨の決定を行うこととなるので、壱岐市行政手続条例(平成16年壱岐市条例第9号)第8条の趣旨に則り、必要にして十分な理由提示を行う必要がある。

第8条 行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければならない。以下省略

3 特定個人が識別できる内容で公開請求があった場合は、そのような請求をしないよう説明し、請求の内容や方法等を変更するよう求めるものとする。

第10条 公開請求に対する措置

(公開請求に対する措置)

第10条 実施機関は、公開請求に係る行政文書の全部又は一部を公開するときは、その旨の決定(以下「公開決定」という。)をし、公開請求者に対し、その旨及び公開の実施に関し規則で定める事項を書面により通知しなければならない。

2 実施機関は、公開請求に係る行政文書の全部を公開しないとき(前条の規定により公開請求を拒否するとき及び公開請求に係る行政文書を保有していないときを含む。)は、公開をしない旨の決定をし、公開請求者に対し、その旨を書面により通知しなければならない。

【趣旨】

本条は、公開請求に対する実施機関の応答義務及び応答の形態を定めたものである。

【解釈・運用】

1 「公開請求に係る行政文書を保有していないとき」(第2項)とは、行政文書が不存在の場合も公開しない旨の決定を行うことを条例上明確にしたものである。

2 公開請求書に形式上の不備がある場合など、公開請求が不適法であることを理由として行政文書の公開をしないときも、第2項の決定に含まれる。

3 公開しない旨の決定を行うときは、壱岐市行政手続条例第8条の趣旨に則り、必要にして十分な拒否理由の提示を行う必要があることから、行政文書の存否を明らかにしないで請求を拒否する場合や文書不存在の場合も、次のようにその理由を明らかにしなければならない。

(1) 存否応答拒否の場合

「文書の存否を答えるだけで個人の正当な利益を害することとなるので、当該文書は存在するともしないとも答えられない。仮に存在するとしても、情報公開条例第7条第2号に該当し、非公開とされる情報である。」など

(2) 文書不存在の場合

「当該文書は~(文書の性質、不存在の事情等)のため、実施機関では作成及び取得しておらず、存在しない。」、「当該文書は存在したが、保存年限を満了したため○年○月に廃棄済みであり、現在は存在しない。」など

 4 公開請求が不適法であることを理由とする非公開決定、行政文書の存否を明らかにしないで公開請求を拒否する決定、文書不存在の決定は、いずれも処分性を有し、行政不服審査法や行政事件訴訟法(昭和37年法律第139号)に基づき争うことが可能である。

5 決定内容が、請求に係る行政文書の全部の公開をする場合であって、直ちにその公開が可能となるものについては、請求者において何ら不利益はないと考えられるので、通知書面は省略することができるものとする。

第11条 公開決定等の期限

(公開決定等の期限)

第11条 前条各項の決定(以下「公開決定等」という。)は、公開請求があった日から15日以内にしなければならない。ただし、第6条第2項の規定により補正を求めた場合にあっては、当該補正に要した日数は、当該期間に算入しない。

2 前項の規定にかかわらず、実施機関は、事務処理上の困難その他正当な理由があるときは、同項に規定する期間を30日以内に限り延長することができる。この場合において、実施機関は、公開請求者に対し、遅滞なく、延長後の期間及び延長の理由を書面により通知しなければならない。

【趣旨】

本条は、公開決定等を行うべき期限及び延長可能な期限を定めたものである。

【解釈・運用】

 1 「公開請求があった日」(第1項)とは、公開請求書が当該請求を取り扱うこととされている窓口に到達し、実施機関が了知可能な状態になった日をいう。

2 公開請求があった日から起算して15日目に当たる日が市の休日に当たるときは、その直後の市の休日でない日が満了日となる。

3 「補正を求めた場合にあっては、当該補正に要した日数は、当該期間に算入しない」(第1項)とあるが、公開請求書に形式上の不備があっても、補正を求めないときは、原則どおり、公開請求があった日から起算して15日以内に公開決定等を行わなければならない。

4 「その他正当な理由」(第2項)とは、実施機関が誠実に努力しても、15日以内に公開を行うかどうかの決定をすることができないと認められる事情をいい、次のような場合をいう。

(1) 第三者に関する情報が記録されているため、その第三者の意見を聴取するのに相当の日数を必要とする場合

(2) 複数の実施機関等に関係する情報が記録されているため、その実施機関等の意見を聴取するのに相当の日数を必要とする場合

(3) 公開請求のあった行政文書の種類又は量が多いため、公開決定等に相当の日数を必要とする場合

(4) 天災等が発生した場合、突発的に業務が増大した場合、緊急を要する業務を処理する場合その他正当な理由のある場合

5 延長期限を30日までとし、公開決定等を行うべき期間を公開請求があった日から起算して45日までを期限としたのは、第三者に対する意見書提出の機会を付与するに当たっての、当該第三者手続に必要な期間に配慮したものである。したがって、第三者手続が不要な場合には、公開決定等の期限が原則として15日以内とされていることを勘案して、延長したときでも、可能な限り早期に公開決定等を行うように努めるものとする。

第12条 公開決定等の期限の特例

(公開決定等の期限の特例)

第12条 公開請求に係る行政文書が著しく大量であるため、公開請求があった日から45日以内にそのすべてについて公開決定等をすることにより事務の遂行に著しい支障が生ずるおそれがある場合には、前条の規定にかかわらず、実施機関は、公開請求に係る行政文書のうちの相当部分につき当該期間内に公開決定等をし、残りの行政文書については相当の期間内に公開決定等をすれば足りる。この場合において、実施機関は、同条第1項に規定する期間内に、公開請求者に対し、次に掲げる事項を書面により通知しなければならない。

(1) 本条を適用する旨及びその理由

(2) 残りの行政文書について公開決定等をする期限

【趣旨】

本条は、公開請求に係る公文書が著しく大量であるため、公開請求があった日から45日以内にそのすべてについて公開決定等をすることにより事務の遂行に著しい支障が生ずると認められる場合における公開決定等の期限の特例を定めたものである。

【解釈・運用】

1 「公開請求に係る行政文書が著しく大量である」とは、公開請求を処理する部署において、公開決定等に関する事務を45日以内に処理しようとすると、当該部署の通常事務の遂行に著しい支障が生ずるほどの量をいう。

2 「事務の遂行に著しい支障が生ずる」とは、通常生ずる支障の程度を超えた、業務上看過し得ないほどの支障をいう。

3 「相当の部分」とは、本項が、公開請求に係る行政文書について、公開決定等を分割して行うことを認めた趣旨に照らし、実施機関が45日以内に努力して処理することができる部分であって、公開請求者の要求をある程度満たすまとまりのある部分をいう。

4 「相当の期間」とは、残りの行政文書について、実施機関が処理するために必要な合理的期間をいう。

5 「本条を適用する旨及びその理由」には、公開請求に係る行政文書が著しく大量であること、公開請求があった日から45日以内にそのすべてについて公開決定等をすることが、通常の行政事務の遂行に著しい支障を及ぼすことを具体的に記載するものとする。

(請求から公開決定等までの日数)

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※第12条を適用する場合の手続

①15日以内に第12条を適用することの決定をし、公開請求者に通知する。

②公開請求に係る公文書の相当の部分については45日以内に公開決定等を行う。

③相当の期間内に残りの公文書の公開決定等を行う。

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第13条 理由の付記

(理由の付記等)

第13条 実施機関は、第10条第1項の規定により公開請求に係る行政文書の一部を公開しないとき又は同条第2項の規定により公開請求に係る行政文書の全部を公開しないときは、公開請求者に対し、同条各項に規定する書面にその理由を示さなければならない。この場合において、当該理由は、公開しないこととする根拠規定及び当該規定を適用する根拠が、当該書面の記載自体から理解され得るものでなければならない。

2 実施機関は、前項の場合において、同項の行政文書に係る決定の日から1年以内に、その全部又は一部を公開できることが明らかであるときは、その旨を公開請求者に通知するものとする。

【趣旨】

1 第1項は、公開請求に係る行政文書の一部又は全部を公開しない旨の決定に係る通知書に記載する理由について、請求者の利益保護(いかなる点で公開できないのかを、はっきりした根拠を知ることによって納得するという意味で、あるいはそれにとどまらず、審査請求の際の争点を見極めるという意味で)の見地から、その明確性を要求するものである。

2 第2項は、公開請求に係る行政文書の一部又は全部を公開しない旨の決定の理由につき、係る決定の日から1年以内にこれが消滅することが明らかであり、その時期についてあらかじめ明示し得るときは、その時期を明らかにすることで、もって請求者のニーズにでき得る限り応えようとする規定であり、行政文書を原則公開とする本条例の趣旨を生かそうというものである。なお、期日の明示は、行政文書を公開できるようになる期日を教示するものであり、当該行政文書を当該期日に公開する決定ではない。したがって請求者は、当該期日の経過後、改めて行政文書の公開を請求しなければならない。

第14条 事案の移送

(事案の移送)

第14条 実施機関は、公開請求に係る行政文書が他の実施機関により作成されたものであるときその他他の実施機関において公開決定等をすることにつき正当な理由があるときは、当該他の実施機関と協議の上、当該他の実施機関に対し、事案を移送することができる。この場合においては、移送をした実施機関は、公開請求者に対し、事案を移送した旨を書面により通知しなければならない。

2 前項の規定により事案が移送されたときは、移送を受けた実施機関において、当該公開請求についての公開決定等をしなければならない。この場合において、移送をした実施機関が移送前にした行為は、移送を受けた実施機関がしたものとみなす。

3 前項の場合において、移送を受けた実施機関が公開決定をしたときは、当該実施機関は、公開の実施をしなければならない。この場合において、移送をした実施機関は、当該公開の実施に必要な協力をしなければならない。

【趣旨】

本条は、行政文書が他の実施機関により作成されたものであるとき、又は公開請求に係る行政文書に他の実施機関の事務に関連する情報が記録されており、他の実施機関に処理を委ねた方が迅速かつ適切な処理ができる場合など他の実施機関で公開決定等をすることに正当な理由があるときは、当該他の実施機関と協議の上、事案を移送することができることを定めたものである。

【解釈・運用】

1 「他の実施機関と協議の上」(第1項)とは、事案の移送は、実施機関相互の協議が整った場合に行うというものである。

2 事案の移送によって、公開請求者に不利益とならないようにするため、移送をした実施機関が移送前にした行為は、移送を受けた実施機関がしたものとみなされる。したがって、公開決定等の期限は、移送をした実施機関に公開請求があった日の翌日から起算することとなる。

3 「移送をした実施機関は、当該公開の実施に必要な協力をしなければならない」(第3項)とは、移送を受けた実施機関が当該公開請求に係る行政文書を保有していない場合などを想定し、移送をした実施機関は、公開に必要な協力をしなければならないというものである。

第15条 第三者に対する意見書提出の機会の付与等

(第三者に対する意見書提出の機会の付与等)

第15条 公開請求に係る行政文書に市、国及び他の地方公共団体並びに公開請求者以外のもの(以下「第三者」という。)に関する情報が記録されているときは、実施機関は、公開決定等をするに当たって、当該情報に係る第三者に対し、公開請求に係る行政文書の表示その他規則で定める事項を通知して、意見書を提出する機会を与えることができる。

2 実施機関は、第三者に関する情報が記録されている行政文書を公開しようとする場合であって、当該情報が第7条第2号イ又は同条第3号ただし書に規定する情報に該当すると認められるときは、公開決定に先立ち、当該第三者に対し、公開請求に係る行政文書の表示その他規則で定める事項を書面により通知して、意見書を提出する機会を与えなければならない。ただし、当該第三者の所在が判明しない場合は、この限りでない。

3 実施機関は、前2項の規定により意見書の提出の機会を与えられた第三者が当該行政文書の公開に反対の意思を表示した意見書を提出した場合において、公開決定をするときは、公開決定の日と公開を実施する日との間に少なくとも2週間を置かなければならない。この場合において、実施機関は、公開決定後直ちに、当該意見書(第19条第2項第2号及び第20条第3号において「反対意見書」という。)を提出した第三者に対し、公開決定をした旨及びその理由並びに公開を実施する日を書面により通知しなければならない。

【趣旨】

本条は、公開請求に係る行政文書に第三者に関する情報が記録されている場合における当該第三者に対する意見書提出の機会の付与及び第三者による争訟の機会の確保について定めるものである。

【解釈・運用】

1 任意的意見聴取(第1項)

第1項に規定する意見書提出の機会の付与は、公開請求のあった行政文書に第三者に関する情報が記録されている場合に、当該第三者に意見書の提出を求め、その結果を決定の際の参考とすることにより、当該行政文書の公開・非公開の判断の適正を期することを目的とするものであり、実施機関に対して、係る意見書の提出を求めることを義務付けるものではなく、また、実施機関の決定が第三者の意見に拘束されるものでもない。

2 必要的意見聴取(第2項)

第2項は、第三者に関する情報を第7条第2号イ又は同条第3号ただし書の規定により公開する場合においては、第三者に不利益を与える場合であっても、公開することの公益と比較衡量して公開するか否か判断することとなるので、係る場合には、自らの権利利益を害されることになる当該第三者から事前に意見聴取することがデュー・プロセスの理念に照らして必要と解されることから、この点についての規定を整備したものである。

なお、実施機関の決定が第三者の意見に拘束されるものでないことは、第1項の場合と同様である。

3 「当該第三者の所在が判明しない場合は、この限りでない」(第2項ただし書)との例外規定は、同項本文が意見書提出の機会を義務付けており、実施機関が合理的な努力を行ったにもかかわらず、当該第三者の所在を探知できない場合に、手続が進まなくなることを避けるためのものである。

なお、第三者の所在が判明しない場合に公示送達を義務付けなかったのは、公示送達を行うこと自体が当該個人を識別されるおそれがあることに配慮したものである。

4 第3項を適用する場合を、「前2項の規定により意見書の提出の機会を与えられた第三者が当該行政文書の公開に反対の意思を表示した意見書を提出した場合」としたのは、第三者が公開に反対の意思を表示しないときは、当該第三者に対して事前の争訟の機会を確保する必要はないためである。

5 「公開決定の日と公開を実施する日との間に少なくとも2週間を置かなければならない」(第3項前段)との規定は、公開請求者の公開を受ける権利と第三者の争訟の機会の確保とを調整し、公開の実施までの期間を明確にしたものである。

なお、実施機関の公開決定に不服がある場合、行政不服審査法においては、処分があったことを知った日の翌日から起算して3月以内とされており、また行政事件訴訟法においても、取消訴訟にあっては、処分又は裁決があったことを知った日から3箇月以内とされているにもかかわらず、公開の実施までの期間を最短で2週間としたのは、公開請求者の迅速に公開を受けるという期待をも考慮したことによるものである。

6 「実施機関は、公開決定後直ちに、当該意見書(略)を提出した第三者に対し、公開決定をした旨及びその理由並びに公開を実施する日を書面により通知しなければならない」(第3項後段)との規定は、公開決定を当該第三者に直ちに通知することにより、第三者の争訟の機会を保障するための規定である。

「直ちに」という文言は、「即時に」、「間をおかずに」という意味であり、一切の遅延を許さない。公開決定の通知が遅延すれば、争訟の機会を実質的に失わせるおそれがあるためである。

第16条 行政文書の公開の方法

(行政文書の公開の方法)

第16条 行政文書の公開は、文書又は図画については閲覧又は写しの交付により、電磁的記録についてはその種別、情報化の進展状況等を勘案して規則で定める方法により行う。ただし、閲覧の方法による行政文書の公開にあっては、実施機関は、当該行政文書の保存に支障を生ずるおそれがあると認めるときその他正当な理由があるときは、その写しにより、これを行うことができる。

【趣旨】

本条は、第10条第1項の規定により行政文書の公開決定をした場合における具体的な公開の方法を定めたものである。

【解釈・運用】

1 公開は、各行政文書の種別に従い、公開請求者の要望に応じて、所定の方法によりこれを行うこととなるが、このうち電磁的記録については、使用する機器の普及状況、情報化の進展状況あるいは電子データの保護等、検討すべき課題も多くある。このような問題に適切に対処し、きめ細やかな対応が可能となるよう、電磁的記録の公開方法は、規則で定めることとしたものである。

なお、録音・録画テープは電磁的記録として公開するものとし(第2条第2号の解釈・運用を参照)、その視聴の方法についても規則で定める。

2 「当該行政文書の保存に支障を生ずるおそれがあると認めるとき」とは、原本が貴重なものである場合、傷みが激しい等の理由によりそのまま閲覧等に供したのでは当該行政文書の汚れや破損のおそれがある場合等、保存に支障をきたす場合をいう。

3 「その他正当な理由があるとき」とは、原本を事務事業に使用する必要があり、閲覧等に供すると事務事業の遂行に支障がある場合、第8条の規定により部分公開を行う場合等をいう。

第17条 他の制度との調整

(他の制度との調整)

第17条 実施機関は、他の法令等の規定により、何人にも公開請求に係る行政文書が前条に規定する方法と同一の方法で公開することとされている場合(公開の期間が定められている場合にあっては、当該期間内に限る。)には、同条の規定にかかわらず、当該行政文書については、当該同一の方法による公開を行わない。ただし、当該他の法令等の規定に一定の場合には公開をしない旨の定めがあるときは、この限りでない。

2 他の法令等の規定に定める公開の方法が縦覧であるときは、当該縦覧を前条の閲覧とみなして、前項の規定を適用する。

【趣旨】

本条は、法令等において何人に対しても一定の行政文書を公開する規定(一定の場合には公開しない旨の定めがないものに限る。)があり、その公開の方法がこの条例の公開の方法と同一である場合には、この条例に基づく公開を重ねて認める必要性がないことから、当該同一の方法による公開の限度で、この条例による公開を行わないこととするものである。

【解釈・運用】

1 本条の調整の対象となる規定は、「何人にも」公開すべき旨の規定に限るものである。本人、利害関係者等、特定の者に対して公開すべき旨の規定については、この条例が並行的に適用され、当該規定の趣旨を考慮しつつ、当該行政文書がこの条例の非公開情報に該当するか否か個別に判断することとなる。

2 本条の調整の対象となるのは、法令等の規定により「行政文書」を公開する場合に限るものであり、例えば、計画や指針などの「情報」を公開すべき旨の規定の場合には、本条の調整の対象とはならない。

3 法令等の規定の中には、公開の期間が定められているものがあるが、この場合には、当該期間内に限り、本条の調整措置の対象とするものである。なお、当該期間の前後については、全面的に本条例によることとなる。

4 本条例では、法令等の規定に定める公開方法が、第16条に規定する公開方法のいずれかと同一の方法である場合に限って、当該同一の方法による公開をしないものとする。したがって、法令等に閲覧のみが規定されている場合には、閲覧による公開については法令等によることとなり、例えば写しの交付のようにその他の方法による公開については本条例によることとなる。

5 「一定の場合には公開をしない旨の定めがあるとき」とは、法令等の規定において、例えば「……おそれがあるときは、閲覧を拒むことができる」「……がなければ、これを拒むことができない」とされている場合等であり、このように一定の場合に公開をしない旨の定めがあるときは、本条の調整の対象とはならないものである。

6 第2項については、「縦覧」は、本条例第16条に公開の方法として規定されていないが、個々人に行政文書の内容が明らかに分かるように示し、見せるものであり、閲覧と同視される公開の形態であることから、法令等の規定に定める公開の方法が縦覧であるときは、本条例の閲覧とみなして、本条例による公開はしないこととしたものである。

第18条 費用負担等

(費用負担等)

第18条 行政文書の公開に係る手数料は、無料とする。

2 行政文書の写しの交付を受ける場合の当該行政文書の写しの作成及び送付に要する費用は、公開請求者の負担とする。

【趣旨】

本条は、行政文書の公開を受ける場合の費用の負担等について定めるものである。

【解釈・運用】

1 第1項の規定は、この条例第1条の目的を全うするため、閲覧等はその最も基本的な手段であり、当然の事務であることから、本条例に基づいて行われる行政文書の公開請求に係る手数料は無料としたものである。

2 第2項の規定は、「写しの交付又は送付」には、用紙代等の消耗品費、備品等の減価償却費、郵送料その他諸経費がかかるため、受益者負担の考え方から実費を徴収するものとしたものである。

3 写しの作成方法及び費用の額、費用の納入については規則で定める。

第3章 審査請求等

第19条 審査会への諮問等

(審査会への諮問等)

第19条 公開決定等又は公開請求に係る不作為に係る審査請求については、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第9条第1項本文の規定は、適用しない。

2 公開決定等又は公開請求に係る不作為について審査請求があったときは、当該審査請求に対する裁決をすべき実施機関は、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、遅滞なく、壱岐市情報公開審査会に諮問しなければならない。

(1) 審査請求が不適法であり、却下する場合

(2) 裁決で、審査請求の全部を認容し、当該審査請求に係る行政文書の全部を公開することとする場合。ただし、当該行政文書の公開について反対意見書が提出されている場合を除く。

3 前項の規定により諮問をした実施機関(以下「諮問実施機関」という。)は、同項の規定による諮問に対する答申を受けたときは、これを尊重して、速やかに、当該審査請求に対する裁決をしなければならない。

【趣旨】

本条は、公開決定に対する審査請求があったときは、原則として審査会に諮問すべきこと及び諮問実施機関は審査会からの答申を尊重して、速やかに決定を行わなければならないことを定めたものである。

【解釈・運用】

1

「審査請求があったとき」(第2項)とは、部分公開又は非公開の決定があった場合に公開請求者が審査請求を行った場合のほか、行政文書が公開されることによりその権利利益が害されることとなる第三者が審査請求を行った場合をいう。

2 「審査請求が不適法であり、却下する場合」(第1項第1号)とは、審査請求が、審査請求期間(決定があったことを知った日の翌日から3月以内)経過後になされたときや、審査請求をすることができない者からなされたときなど、要件不備により却下する場合をいう。

3 第2項第2号は、非公開決定や部分公開決定を取り消し、又は変更して、これを全部公開とする以上、公開請求者が審査請求人の場合、当該審査請求人にとっては審査会に諮問して審査を仰ぐまでもなく、満足する結果が得られることになるから、原則として諮問不要とするものである。ただし、当該公開決定等について反対意見書が出されている場合には、全部公開することは、当該意見書を提出した者の利益を害することになるので、諮問を要するとしたものである。

4 「裁決」(第2項第2号)とは、公開・非公開の決定に係る審査請求に対し、諮問実施機関が処分庁として行う裁断行為をいう。

第20条 諮問をした旨の通知

(諮問をした旨の通知)

第20条 諮問実施機関は、次に掲げるものに対し、諮問をした旨を通知しなければならない。

(1) 審査請求人及び参加人(行政不服審査法第13条第4項に規定する参加人をいう。以下この章において同じ。)

(2) 公開請求者(公開請求者が審査請求人又は参加人である場合を除く。)

(3) 当該審査請求に係る行政文書の公開について反対意見書を提出した第三者(当該第三者が審査請求人又は参加人である場合を除く。)

【趣旨】

本条は、諮問実施機関に対し、審査会に諮問した旨を審査請求人等の関係者に通知することを義務付けることを定めたものである。

【解釈・運用】

1 通知すべき相手方の範囲は、不服審査手続に既に関与している審査請求人及び参加人のほか、参加人となりうることが明らかな利害関係者(公開請求者及び反対意見書を提出している第三者)である。

2 「参加人」とは、実施機関の決定につき利害関係を有する者であって、審査請求に係る審査手続に参加する者をいう(行政不服審査法第13条)

3 本条の通知を実施機関に行わせることとしているのは、反対意見書を提出した第三者の有無について、審査会には不明であること、審査請求人等にとっては、意見書提出等準備の都合上、できる限り早い段階で通知されることが望ましく、また審査会にとっても、その方が速やかに調査審議を進められることによるものである。

第21条 第三者からの審査請求を棄却する場合等における手続

(第三者からの審査請求を棄却する場合等における手続)

第21条 第15条第3項の規定は、次の各号のいずれかに該当する裁決をする場合について準用する。

(1) 公開決定に対する第三者からの審査請求を却下し、又は棄却する裁決

(2) 審査請求に係る公開決定等(公開請求に係る行政文書の全部を公開する旨の決定を除く。)を変更し、当該審査請求に係る行政文書を公開する旨の裁決(第三者である参加人が当該行政文書の公開に反対の意思を表示している場合に限る。)

【趣旨】

本条は、第三者に関する情報が記録されている行政文書の公開決定等に対する審査請求について、第三者からの審査請求を却下若しくは棄却する場合、又は非公開決定に係る行政文書を公開する場合に、当該第三者が取消訴訟を提起する機会を保障しようとするものである。

【解釈・運用】

1 公開決定に対する第三者からの審査請求が却下又は棄却された場合、直ちに実施機関が公開を実施すると、当該第三者が公開決定に対する取消訴訟を提起する機会を失してしまうことになる。したがって、決定と公開の実施日との間に相当の期間を置く必要がある。

同様に、公開請求に係る行政文書の公開決定等に対する審査請求が行われた結果、当該審査請求に係る開示決定等を変更し、当初の決定より開示する部分を拡大する決定を行うこととなった場合においても、第三者に対して、公開の実施前に、係る決定を争う機会を保障する必要があり、そのために、係る場合と趣旨を同じくする第15条第3項を準用しているものである。したがって、これらの場合については、審査請求に対する決定の日と公開の実施日との間に2週間以上置かなければならない。

2 上記の場合を、「第三者である参加人が当該行政文書の公開に反対の意思を表示している場合」に限定しているのは、第三者が自ら参加人となって、公開に反対の意思を表示していた場合に限って係る取扱いをすれば十分であり、それ以外の第三者に対しても出訴の便宜を図ってまで、公開の実施を遅らせることの合理的根拠はないからである。

なお、第2号は、公開決定等が変更され、当初の決定より公開する部分を拡大することとなる場合の規定であり、非公開決定が取り消された結果、改めてなされる公開決定については、本条による準用の問題ではなく、第15条第3項が直接適用され、公開決定の日と公開を実施する日との間に2週間以上の期間を置くとともに、当該第三者に対し、公開決定をした旨及びその理由並びに公開を実施する日を書面により通知しなければならない。

3 行政文書の公開決定の取り消しを求める審査請求が提起された場合、当該審査請求の提起自体には、行政不服審査法第25条第1項(同法第61条において準用)の規定により、当該公開決定に係る行政文書の公開に対する執行停止の効力はないが、同法第25条第2項(同法第61条において準用)の規定により、処分の取り消しを求める審査請求に併せて執行停止の申立てがあり、これを処分庁が認めたとき、又は処分庁が職権により執行停止を行ったときは、当該審査請求に対する裁決の日までは公開をしないこととする。

第22条 壱岐市情報公開審査会

(壱岐市情報公開審査会)

第22条 審査会は、第19条第2項の規定による諮問に応じ審査請求について調査審議する。

2 審査会は、前項に規定する調査審議のほか、行政文書の公開に関する事項について、実施機関に対し、意見を述べることができる。

3 審査会は、委員5人以内をもって組織する。

4 委員は、識見を有する者のうちから、市長が委嘱する。

5 委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

6 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。

7 前各項に定めるもののほか、審査会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

【趣旨】

本条は、情報公開審査会の設置並びにその組織及び運営に関しての基本的事項を定めたものである。

【解釈・運用】

1 第1項の規定は、審査会は前条の諮問に応じて調査審議するために設置するものであり、法的には地方自治法第138条の4第3項に規定する市長の附属機関として位置付けられるものであるが、判断の統一を図る必要があることなどから、市長以外の実施機関からも審査会に対して直接諮問できることを定めたものである。

2 第2項の規定は、審査会は審査請求について調査審議することを主な目的として設置されるが、その調査審議の過程において制度運営上の問題等が浮かび上がってくることも考えられるため、このような場合には、実施機関に対して意見を述べることができることとし、情報公開制度が適正に運用されるよう監視する機能を併せて持たせることを定めたものである。

3 第3項の規定は、審査会は諮問に応じて公正かつ迅速な対応を図るため合議体とし、非常勤の委員5人以内により組織することを定めたものである。

4 第6項の規定は、審査会には第23条第1項の規定により、非公開情報が記録された行政文書を直接見分する権限が与えられているが、審査会の委員は地方公務員法第3条第3項第2号に規定する非常勤の特別職の地方公務員であるため、同法第4条第2項の規定により、同法第34条第1項に定める守秘義務を負っていないので、守秘義務を課すことを条例上定めたものである。

5 第7項の規定により、審査会に関して規則で定める事項は、会長、会議及び議事等である。

第23条 審査会の調査審議の手続

(審査会の調査審議の手続)

第23条 審査会は、前条第1項の規定による調査審議を行うため必要があると認めるときは、諮問実施機関に対し、公開決定等に係る行政文書の提示を求めることができる。この場合においては、何人も、審査会に対し、その提示された行政文書の公開を求めることができない。

2 諮問実施機関は、審査会から前項の規定による求めがあったときは、これを拒んではならない。

3 審査会は、前条第1項の規定による調査審議を行うため必要があると認めるときは、諮問実施機関に対し、公開決定等に係る行政文書に記録されている情報の内容を審査会の指定する方法により分類し又は整理した資料を作成し、審査会に提出するよう求めることができる。

4 第1項及び前項に定めるもののほか、審査会は、審査請求に係る事件に関し、審査請求人、参加人又は諮問実施機関(以下「審査請求人等」という。)に意見書又は資料の提出を求めること、適当と認める者にその知っている事実を陳述させ、又は鑑定を求めることその他必要な調査をすることができる。

【趣旨】

本条は、実施機関から諮問された事案についての審査会の調査審議の手続を定めたものである。

【解釈・運用】

1 第1項の規定は、実施機関の行った公開決定等の判断の当否、当該行政文書の非公開情報の記載の有無などを確認するため、公開決定等の判断がなされた行政文書を審査会が直接見ることができる権限を審査会に認めたものである。

なお、「必要があると認めるとき」とは、当該行政文書に記録されている情報の性質、当該事件の証拠関係等に照らし、審査会が当該行政文書を実際に見分しないことにより生ずる適切な判断の困難性等の不利益と、当該行政文書を審査会に提出することにより生ずる行政上の支障等の不利益とを比較衡量した結果、なお必要と認められることを意味する。

2 第2項の規定は、審査請求のあった公開決定等に係る行政文書の提示を審査会から求められたときは、諮問実施機関はこれに応じなければならないことを定めたものである。

3 第3項の規定は、審査請求のあった公開決定等に係る行政文書の量が多く、複数の非公開情報が複雑に関係する事案などの審議では、争点を明確にし、審理を促進する上で、審査請求のあった公開決定等に係る行政文書に記録されている情報の内容を分類又は整理した資料(ヴォーン・インデックス)が有効であることから、審査会は必要と認めるときに、諮問実施機関に対し、その指定する方法により、ヴォーン・インデックスを作成するよう求めることができることを定めたものである。

4 第4項の規定は、当該行政文書に記録されている情報には、その性質上、特定の最小限度の範囲の者にしか知らせるべきでないものや、情報源・情報交換の方法について当該情報交換の当事者以外には知らせるべきでないものなど、当該情報の性質に応じて特別の考慮を払う必要があるものがあり得るとして情報内容に即した調査を認めるものである。

第24条 意見の陳述

(意見の陳述)

第24条 審査会は、審査請求人等から申立てがあったときは、当該審査請求人等に口頭で意見を述べる機会を与えなければならない。ただし、審査会がその必要がないと認めるときは、この限りでない。

2 前項本文の場合においては、審査請求人又は参加人は、審査会の許可を得て、補佐人とともに出頭することができる。

【趣旨】

本条は、審査請求人等の審査会に対する口頭による意見陳述について定めたものである。

【解釈・運用】

1 第1項の規定は、審査請求人等の審査会に対する口頭による意見陳述の機会を認めたものである。

なお、「審査会がその必要がないと認めるとき」とは、審査請求人等の意見を全面的に認めるとき、同一の行政文書の公開・非公開の判断の先例が確立しているときなど、改めて当該審査請求人等から意見を聴く必要が認められないときである。

2 第2項の規定は、第1項の口頭意見陳述権を、審査会の許可がある場合には補佐人にも認めることを定めたものである。

「補佐人」とは、行政不服審査法第31条第3項に規定されている補佐人と同趣旨であり、審査請求事案についての専門的知識をもって審査請求人又は参加人の発言機関としての立場から事実上又は法律上の陳述を行うものである。具体的には、審査請求人又は参加人が言語に障害を有する者や日本語による陳述が困難な者である場合にその者の陳述を補佐する者であるとか、審査請求人又は参加人が法人である場合の会計等の具体的な事務担当者などが該当する。

第25条 意見書等の提出

(意見書等の提出)

第25条 審査請求人等は、審査会に対し、意見書又は資料を提出することができる。ただし、審査会が意見書又は資料を提出すべき相当の期間を定めたときは、その期間内にこれを提出しなければならない。

2 審査会は、前項の規定により審査請求人等から意見書又は資料が提出された場合には、審査請求人等(当該意見書又は資料を提出したものを除く。)にその旨を通知するよう努めるものとする。

【趣旨】

本条は、審査請求人等は審査会に対し、意見書又は資料を提出することができること及び意見書又は資料が提出された場合には審査請求人等に通知するよう努めることを定めたものである。

【解釈・運用】

1 第1項の規定は、審査請求人等に対し、意見書又は資料の提出権を認めたものであるが、提出に相当の期間が定められたときは、期間内の提出を要するとしたものである。

「相当の期間」とは、意見書又は資料を準備し、提出するために社会通念上必要と考えられる期間である。

2 第2項の規定は、審査請求人等は、第26条の規定により審査会へ提出された意見書及び資料の閲覧等を求めることができるが、意見書及び資料の提出の有無は審査請求人等には分からないため、意見書又は資料が提出された場合には、審査会は審査請求人等にその旨を通知するよう努めることを定めたものである。

第26条 提出資料の閲覧等

(提出資料の閲覧等)

第26条 審査請求人等は、審査会に対し、審査会に提出された意見書若しくは資料の閲覧(電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下この項において同じ。)にあっては、記録された事項を審査会が定める方法により表示したものの閲覧)又は当該意見書若しくは当該資料の写し若しくは当該電磁的記録に記録された事項を記載した書面の交付(以下この条において「閲覧等」という。)を求めることができる。この場合において、審査会は、第三者の利益を害するおそれがあると認めるときその他正当な理由があるときでなければ、その閲覧等を拒むことができない。

2 審査会は、前項の規定による閲覧をさせ、又は同項の規定による交付をしようとするときは、当該閲覧又は交付に係る意見書又は資料の提出人の意見を聴かなければならない。ただし、審査会が、その必要がないと認めるときは、この限りでない。

3 審査会は、閲覧等について、日時及び場所を指定することができる。

【趣旨】

本条は、審査請求人等は、審査会に提出された意見書又は資料の閲覧等を求めることができることを定めたものである。

【解釈・運用】

1 「第三者の利益を害するおそれがある」(第1項)とは、審査会に提出された意見書又は資料に、個人又は法人等に関する情報が記録されており、当該意見書又は資料の閲覧等を認めることにより、当該個人又は法人等の権利利益を害するおそれがある場合等をいう。

2 「その他正当な理由があるとき」(第1項)とは、審査会に提出された意見書又は資料が公にされることにより、行政運営上支障を生じる情報が記録されている場合等をいう。

3 審査会に提出された意見書及び資料の閲覧又は写しの交付に要する費用は、徴収しない。

第27条 調査審議手続の非公開

(調査審議手続の非公開)

第27条 審査会の行う調査審議の手続は、公開しない。

【趣旨】

本条は、審査会の審査請求に係る調査審議の手続を非公開とすることを定めたものである。

【解釈・運用】

審査会の審査請求に係る調査審議の手続は、審査請求に係る公開決定等の適否について行われるものであり、公開すると非公開情報が公になりかねないことから非公開とするものである。

なお、本条は実施機関の諮問に応じてなす審査請求の調査審議を非公開とするものであって、情報公開に関する事項について、実施機関に意見を述べるための手続は含まれていない。

第28条 答申書の送付等

(答申書の送付等)

第28条 審査会は、諮問に対する答申をしたときは、答申書の写しを審査請求人及び参加人に送付するとともに、答申の内容を公表するものとする。

【趣旨】

本条は、審査会が答申をしたときは、審査請求人及び参加人へ答申書の写しを送付すること及び答申の内容を一般に公表すべきことを定めたものである。

【解釈・運用】

公表するものを「答申の内容」としたのは、答申書には審査請求人の氏名等、一般に公表することが適当でない部分が含まれていることがあり得ることを考慮したためである。

第4章 補則

第29条 情報公開の総合的推進

(情報公開の総合的推進)

第29条 市は、この条例に定める行政文書の公開のほか、市政に関する情報を住民が迅速かつ容易に得られるよう、情報公開の総合的な推進に努めるものとする。

【趣旨】

本条は、この条例による行政文書の公開のほか、市民の求める情報について積極的に提供を行い、総合的な情報公開に努めることを定めたものである。

【解釈・運用】

情報提供施策は、市が市民にとって有用と認めた情報を、市民に対して自主的に提供するものであり、市民が市政に関する情報を、分かりやすく、容易に得られるようにするものである。したがって、市政に関する情報提供を積極的に推進することで、情報公開制度と相互に補完しあい、総合的な情報公開の実現に努めるものである。

また、従来の情報提供の手法である広報等の資料提供に加えて、情報通信技術の進展に対応した多様な媒体による情報提供についても今後の重要な整備課題としてこれに努めるものとする。

第30条 行政文書の管理

(行政文書の管理)

第30条 実施機関は、この条例の適正かつ円滑な運用に資するため、行政文書を適正に管理するものとする。

2 実施機関は、規則等で定めるところにより、行政文書の管理に関する定めを設けるとともに、これを一般の閲覧に供しなければならない。

3 前項の規則等においては、行政文書の分類、作成、保存及び廃棄に関する基準その他の行政文書の管理に関する必要な事項について定めるものとする。

【趣旨】

本条は、情報公開制度が適切に運営される前提として、公開請求の対象となる行政文書が適正に管理されていることが必要であることから、実施機関が行政文書を適正に管理する責務を定めたものである。

【解釈・運用】

行政文書の管理に関する定めとは、壱岐市処務規程(平成16年壱岐市訓令第1号)等をいう。

第31条 行政文書の検索資料の作成等

(行政文書の検索資料の作成等)

第31条 実施機関は、行政文書の検索に必要な資料を作成し、一般の利用に供するものとする。

【趣旨】

本条は、公開請求者が行政文書を検索するために必要な資料の作成に関し、実施機関の責務を定めたものである。

【解釈・運用】

1 本条は、実施機関が管理する情報を住民に対して明示し、また、公開請求に当たっての情報の特定に資するため、実施機関に対して、情報を検索するために必要な資料を作成し、一般の閲覧に供することを義務付けたものである。

2 「検索に必要な資料」とは、文書分類表、文書目録、事務分掌表等をいう。

第32条 出資法人等の情報公開

(出資法人等の情報公開)

第32条 市が出資その他財政支出等を行う法人であって、市長が定めるもの(以下「出資法人等」という。)は、この条例の趣旨にのっとり、情報公開を行うために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

2 実施機関は、出資法人等の情報公開が推進されるよう必要な措置を講ずるものとする。

【趣旨】

本条は、市が出資その他財政支出等を行う法人であって、市長が定める「出資法人等」に該当するものは、本条例の趣旨にのっとり、情報公開を行うように努めるとともに、実施機関は、出資法人等の情報公開を進めるよう必要な措置を講ずるよう努めることを、条例上明らかにしたものである。

【解釈・運用】

1 出資法人は、市とは別個の独立した法人であるため、条例上の実施機関とすることは困難であるが、市が出資その他の財政上の支出・援助等を行っており、その保有する情報の公開を進めていく必要があることから、出資法人の独立性に配慮しつつ、出資法人が自主的に情報公開に努める責務について定めたものである。

2 「必要な措置を講ずるよう努める」とは、出資法人が、本条例の趣旨にのっとり、当該出資法人の情報公開に関する内部規程を設けるなど、その保有する情報を自主的に公開するための制度を整えることをいう。

第33条 実施状況の公表

(実施状況の公表)

第33条 市長は、毎年1回、各実施機関における行政文書の公開に関する実施状況を取りまとめ、公表するものとする。

【趣旨】

本条は、この条例の施行状況の公表に関する市長の責務を定めたものである。

【解釈・運用】

1 市長は、毎年1回、この条例の施行状況、すなわち行政文書の公開の実施状況をまとめ、広く公表することにより、情報公開制度に対する住民の理解と信頼を深め、より適正に制度の運営が図られるよう努めなければならない。

2 施行状況の公表は、次の事項を告示又は広報紙へ掲載する方法により行うものとする。

(1) 行政文書の公開請求の状況

(2) 請求に対する決定の状況

(3) 審査請求の状況

(4) 前3号に掲げるもののほか、必要と認められる事項

第34条 委任

(委任)

第34条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

【趣旨】

本条は、この条例を実施するに当たっての必要な事項は、規則等で定めることを規定したものである。

【解釈・運用】

1 「この条例の施行に関し必要な事項」とは、行政文書の公開の請求及び公開・非公開の決定に必要な「行政文書公開請求書」、「行政文書公開決定通知書」等の諸様式、公開の実施方法等をいう。

2 この条例を施行する上で必要な事項については、条例上の実施機関が地方自治法等における執行機関や議決機関であることに着目し、規則制定権を有する実施機関については各実施機関が規則等を制定し、規則制定権を有しない実施機関については実施機関内部における議決又は決裁を経て定め、これを告示するとの考え方による手法を採用している団体もあるが、本市としては、地方自治法等における執行機関や議決機関としての位置づけにとらわれることなく、この条例上での実施機関であることとの位置づけから、市長が定める規則等が各実施機関に適用されると解し、実施機関ごとに必要な事項は定めないこととする。

附則

(施行期日)

1 この条例は、平成16年3月1日から施行する。

(経過措置)

2 この条例は、次に掲げる行政文書について適用する。

(1) 平成14年4月1日(以下「適用日」という。)以後に作成し、又は取得した行政文書

(2) 適用日前に作成し、又は取得した行政文書であって、その目録の作成が終了したもの

【趣旨】

附則は、この条例の施行期日及びこの条例の適用対象となる行政文書について定めたものである。

【解釈・運用】

1 平成16年3月1日から情報公開制度を施行し、公開請求を受け付けるものである。

2 適用対象となる行政文書を「平成14年4月1日(以下「適用日」という。)以後に作成し、又は取得した行政文書」としたのは、この条例の適用対象となる行政文書の整理が完了しているためである。

3 適用日前の行政文書についても、目録の作成が終了したものについては、この条例の目的を達成するために、公開することとしたものである。

4 適用日前の行政文書で、仮に目録の作成が終了していないものについても、検索可能なものについては、公開するように努めるものとする。

この訓令は、平成16年3月1日から施行する。

(平成28年4月1日訓令第3号)

この訓令は、平成28年4月1日から施行する。

条文に使われる用語の解説

条項

条文の用語

意味内容

第10条第1項

公開請求に係る行政文書の全部又は一部を公開するときは、その旨の決定(以下「公開決定」という。)

①全部公開

②部分公開(=部分非公開)

第10条第2項

公開請求に係る行政文書の全部を公開しないとき(前条の規定により公開請求を拒否するとき及び公開請求に係る行政文書を保有していないときを含む。)

③全部非公開

④存否応答拒否

⑤文書不存在

第11条第1項

前条各項の決定(以下「公開決定等」という。)

①全部公開

②部分公開(=部分非公開)

③全部非公開

④存否応答拒否

⑤文書不存在

第13条第1項

第10条第1項の規定により、行政文書の一部を公開しないとき

②部分公開(=部分非公開)

同条第2項の規定により公開請求に係る行政文書の全部を公開しないとき

③全部非公開

第13条第2項

前項の場合において、同項の行政文書に係る決定

②部分公開(=部分非公開)

③全部非公開

第19条第2号

審査請求に係る公開決定等(公開請求に係る行政文書の全部を公開する旨の決定を除く。)

(①全部公開はかっこ書きにより除く)

②部分公開(=部分非公開)

③全部非公開

④存否応答拒否

⑤文書不存在

第21条第2号

審査請求に係る公開決定等を変更し、当該公開決定等に係る行政文書を公開する旨の決定

第19条第2号の変更

(①全部公開は除外されている)

②部分公開→全部公開又は部分公開

(公開範囲を拡大したとき)

③全部非公開→全部公開又は部分公開

④存否応答拒否→全部公開又は部分公開

⑤文書不存在→全部公開又は部分公開

壱岐市情報公開条例の解釈及び運用基準

平成16年3月1日 訓令第8号

(平成28年4月1日施行)

体系情報
第3編 執行機関/第1章 市長部局/第5節 情報の公開・保護等
沿革情報
平成16年3月1日 訓令第8号
平成28年4月1日 訓令第3号